2006 Fiscal Year Annual Research Report
新型核スピンメーザーによる129Xe電気双極子モーメントの超高感度探索
Project/Area Number |
15104003
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
旭 耕一郎 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (80114354)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 誠 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (90397042)
吉見 彰洋 東京工業大学, 理化学研究所, 研究員 (40333314)
|
Keywords | 電気双極子モーメント / 標準模型 / 超対称性模型 / 低周波核スピンメーザー / 磁場の安定化 / 光ポンピング |
Research Abstract |
希ガス元素^<129>Xeの低周波核スピンメーザー装置を永久電気双極子モーメント(EDM)探索実験へ応用するための開発を進めた。当研究グループで開発を行ってきた,緩和のない連続的なスピン歳差をmGレベルの磁場中で実現するこの装置を利用して,核スピン歳差信号を長時間観測することによりわずかな歳差位相のずれの検出を行うことを目指している。 昨年度までに製作した一様性の高い低磁場を生成するソレノイドコイルと,コイルに供給する安定化定電流源の性能試験を行った。市販されている安定化電流源の安定度は10^<-4>が最高で,これによって1μGの静磁場の揺らぎが生じ,スピンメーザーの発振周波数の変動の原因をつくっていた。一方新しく製作した電流源では基準電圧源等に低ノイズICを使用することによって,低周波ノイズが減少した結果,10^<-6>の安定度を達成していることが精密電流計によって確認された。これは磁場の揺らぎに換算して10nGのオーダーに相当する。この高度に安定化された静磁場のもとで^<129>Xeの核スピン歳差運動の観測を行った。90度パルス後の自由歳差運動を連続して500-600秒間測定し、指数関数で減少する単一周波数の正弦波でフィッティングを行い、周波数誤差は1μHz程度まで抑えられていることを確認している。従来のセットアップでは500秒間もの長い自由歳差運動を単一周波数でフィッティングすることはできなかったので、この性能向上は高い安定度の静磁場を生成する定電流源を製作し、導入したことによるものである。また現在、このシステムのもとで、核スピンメーザーの発振実験を行っているところで、長時間観測での周波数安定度の向上が期待できる。 またEDM探索実験に必要な電場印加システムの構築に着手した。磁力計に必要なプローブレーザー光を通すために、メッシュ状の電極を製作した。エッチングによりパイレックスガラスにアルミメッシュを生成し、円筒状の試料封入ガラスセルの両端に取り付けた。現在、電場印加の際の漏電流を抑えるために、洗浄などの工夫を行っているところである。この作業の後、電場印加してスピンメーザー実験を行い、EDM実験に進める予定である。
|
Research Products
(4 results)