2007 Fiscal Year Annual Research Report
新型核スピンメーザーによる129Xe電気双極子モーメントの超高感度探索
Project/Area Number |
15104003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
旭 耕一郎 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (80114354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 誠 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (90397042)
吉見 彰洋 独立行政法人理化学研究所, 応用原子核物理研究室, 研究員 (40333314)
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Keywords | 電気双極子モーメント / 標準模型 / 超対称性模型 / 核スピンメーザー / 磁場の安定化 / 光ポンピング |
Research Abstract |
標準理論を超える物理の存在の明確な証拠となる観測量として、本研究では原子の永久電気双極子モーメント(EDM)に着目し、希ガス原子129XeのEDMを現在の実験的上限である|d(129Xe)|<4×10^<-27>ecmの2桁下の領域まで探索することを目指して、超低磁場で発振可能な光検出・外部フィードバック型核スピンメーザーの開発を行なった。本研究費補助金の最終年度に当たり、これまでに開発してきた実験装置各部に改良と調整を行い、メーザーの実運転を行なって総合的な性能を改良・評価した。まず新規導入したプローブレーザーの性能向上とポンピングおよびプローブ光学系の改良により、129Xeスピン歳差信号のS/N比が向上した。また長期のプローブ波長安定度が向上したために、メーザー発振周波数の長時間安定度が向上し、その安定度の様々な解析が可能となった。さらに、安定度を高めた静磁場用安定化電流源を用いて核スピンメーザーの発振を行い、T=30000sの測定時間でΔv=9.3nHzの周波数精度を得た。これはΔd=9×10^<-28>ecmのEDM決定精度に相当する。また得られた周波数精度は時間領域により構造が見られるものの、Δvocl/T^<1〜1.5>の依存性を示すことが確認された。この結果有限のT_2を持つ歳差信号を多数回積み重ねる測定(Δvoc1/T^<1/2>)では到達不可能な周波数精度を得ることができるようになった。さらに長時間の連続測定を可能とするために、昼間における外部からのノイズ、環境温度変動等の影響を1〜6日間にわたる長時間測定を多数回実施して調査し、特に電流源の温度安定化と実験室周囲の送電線・電気機器からのノイズ除去によってさらに1桁の感度向上が見込めることがわかった。これにより、本研究の当初目標である4×10^<-27>〜4×10^<-29>ecm領域のEDM探索への見通しは十分立ったものと判断される。
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Research Products
(5 results)