2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15104005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
守友 浩 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00283466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 健一 名古屋大学, 高輝度光科学研究センター・利用研究促進部門I, 研究員 (90344390)
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Keywords | 時間分解構造解析 / 粉末X線構造解析 / MEM電子分布解析 / SPring-8 |
Research Abstract |
名古屋大学において、引き続き、ナノ秒過渡吸収測定装置の整備を行った。光誘起効果の検出方法は、1)白色プローブ光源を分光器で分光しゲート付きCCDで時間分解をおこなう方法と2)単色レーザー光をデジタルオシロスコープで時間分解する方法である。これらの方法を組み合わせることにより、スペクトル形状と時間発展との二つの情報が得られる。励起光子エネルギーを可変にするためナノ秒OPOを導入し、0.5eV-3.0eVの光子エネルギーを発振を可能にした。また、プローブ光源を明るくするために、キセノンランプ、さらには、1マイクロ秒のパルス幅を持つキセノンフラッシュランプを使用した。 この装置を用いて、光誘起磁性転移を示すCo-Feシアノ錯体膜とペロブスカイト型マンガン酸化物薄膜LaMnO3の光誘起実験を行った。Co-Feシアノ錯体膜では、0.1ms程度の寿命をもつ光誘起信号を観測した、さらに、過渡吸収スペクトルの形状は、過渡的な光誘起構造変化を強く示唆している。他方、LaMnO3薄膜では、50ns程度の寿命を持つ光誘起信号を観測した。 SPring-8では、アンジュレーター光源ビームラインであるBL40XUにおいて、時間分解X線回折用のデバイシェラーカメラの設計・立ち上げを行った。X線の空気散乱の除去、装置のアラインメント用プログラムの開発、時間分解測定用プログラムの開発、等をおこなった。また、非常に高い角度分解能(0.04度)が得られており、精密構造解析に耐えられる粉末回折データーを得ることが可能である。 この装置を用いて、Co-Feシアノ錯体膜における時間分解X線回折を行った。光励起により、過渡的な第二相が観測された。これは、0.1ms程度の寿命の過渡吸収信号に対応した相であると考えられる。来年度は、精密構造解析に向けて、統計精度を高める工夫を行う。
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Research Products
(6 results)