2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15104005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
守友 浩 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (00283466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 健一 高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (90344390)
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Keywords | 時間分解構造解析 / 粉末X線構造解析 / MEM電子分布解析 / SPring-8 |
Research Abstract |
装置関連の進捗譲許を説明した後に、研究成果について報告する。 まず、研究代表者の筑波大学への異動を機に、より高性能の時間分解測光システムの立ち上げを開始した。一つは、新規光誘起現象の探索の探索には不可欠な赤外-紫外反射分光システム、そして、もう一つはフェムト秒測光システムである。これは、Spring-8のX線パルスの時間分解能は40psであり、その時間領域以下で起こる現象を探索する必要があるからである。これらの装置群を用いた時間分解測光実験により、新規光誘起現象を探索し、SPring-8においてその状態における構造物性研究を行う。なお、前所属機関で作成したナノ秒時間分解分光システムも筑波大学に移植するので、フェムト秒からミリ秒程度までの現象を調べることができるようになる。また、光励起下精密構造解析および時間分解構造解析に関しては、回折装置としての基本性能が充分に出ている。しかしながら、シアノ錯体化合物で実験を通じて、粉末試料の固定方法の改善や光信号の同時計測が、信頼性のある回折データーの取得に不可欠であることが明らかになってきた。粉末試料の固定に関しては、DACのガスケットを利用した方法を試している。また、同時計測のための光学系の検討を開始した。 今年度の主な研究成果を列挙する。 1.シアノ錯体のナノ秒時間分解分光により、光誘起構造変化が起こる前の特異なCoの電子状態に対応する吸収帯が観測された。この吸収帯の寿命は50ns程度である。 2.マンガン酸化物薄膜LaMnO3の光誘起実験を行い、光励起によるスピン系の乱れを観測した。強磁性マンガン酸化物と異なり、臨界緩和が抑制されていることが明らかとなった。 3.スピンクロスオーバー錯体の動的相転移のプロセスを詳細に調べた。そして、内部圧力によるHSサイトの増殖が重要な役割を担っていることを提唱した。 4.スピンクロスオーバー錯体のMEM電子分布とLSDA分子軌道計算と比較をした。その結果、温度誘起のHS相と異なり、光誘起によるHS相は原子振動が抑圧された状態であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)