2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15104005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
守友 浩 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (00283466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 健一 高輝度光科学研究センター, 利用促進部門, 研究員 (90344390)
上岡 隼人 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助手 (40431671)
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Keywords | 時間分解構造解析 / 粉末X線構造解析 / MEM電子分布解析 / SPring-8 / 時間分解分光 / 光誘起相転移 |
Research Abstract |
SPring-8のBL40XUビームラインにはフェムト秒レーザーが導入され、サブnsの時間分解能で時間分解粉末回折実験が可能になった。装置の基本性能の確認は終了している。まず、シアノ錯体粉末の光誘起相転移の時間分解回折実験を行った。しかしながら、回折パターンの有意な変化は観測されなかった。その後の実験により、ナノ秒パルス励起と比較して、フェムト秒パルス励起では信号強度は1%以下になることが明らかとなった。これは、充分な時間分光実験を行った後に、時間分解回折実験に望む必要があることを意味している。 そこで、筑波大学において、本格的な光誘起相転移の探索を行うことにした。そのため、既に立ち上がっている(1)ナノ秒時間分解システムと(2)赤外-紫外反射分光システムの他に、光誘起相転移の探査に欠かせない(3)顕微ラマンシステム、(4)顕微赤外吸収システム、(5)フェムト秒時間分解顕微システム(検出系の作成がH19年度の課題である。)の立ち上げを行った。 今年度の主な研究成果を列挙する。 1.Co-Feシアノ錯体のナノ秒時間分解分光をさらに進めた。中間状態から過渡的光誘起相への緩和が明確に観測された。過渡的光誘起相の割合の時間発展は、三準位モデルで再現することができた。また、中間状態の寿命は300ns程度である。(論文投稿準備中) 2.ナノ秒パルス励起と比較して、フェムト秒パルス励起ではCo-Feシアノ錯体の信号強度は1%以下になることが明らかとなった。この現象を詳細に調べるために、ダブルパルスの実験を行う。 3.放射光X線を用いて、Co-Wシアノ錯体の光誘起相転移を研究した。相転移に伴い重いW原子が異動することが明らかになった。(論文投稿準備中) 4.スピンクロスオーバー錯体のMEM電子分布とLSDA分子軌道計算と比較をした。また、光励起によりon/offスイッチングを観測した。(論文投稿中)
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Research Products
(6 results)