2007 Fiscal Year Annual Research Report
貝殻形成に関わる遺伝子の網羅的探索:軟体動物ゲノムプロジェクトに向けて
Project/Area Number |
15104009
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
遠藤 一佳 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (80251411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉谷 滋 理化学研究所神戸, 発生再生科学総合研究センター, チームリーダー (00178089)
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Keywords | 進化 / 発生・分化 / 動物 / ゲノム / 遺伝子 / バイオミネラリゼーション / 形態形成 / 軟体動物 |
Research Abstract |
本年度は,モノアラガイのengrailed遺伝子とdecapentaplegic(dpp)遺伝子を単離し,発現を調べた.モノアラガイのengrailed(Accession No. AB331395)とdpp(Accession No. AB331396)の完全長cDNAそれぞれ約3kbp,4kbpであり,それぞれを鋳型にしたDIG-labeled RNA probeを用いて,whole mount in situ hybridizatiohを行い,時間的空間的な発現を明らかにした.モノアラガイのengrailedは他の軟体動物と同様に貝殻腺の周縁において発現することが明らかとなった.一方,engrailedの発現領域を囲むようにdppの発現するカサガイPatella vulgataとは異なり,右巻きモノアラガイの貝殻腺においてdppは,予定貝殻腺領域内の右側および陥入している貝殻腺内の右側で強く発現することを発見した.すなわち,モノアラガイにおいてengrailedとdppはともに貝殻腺形成に関連することが強く示唆されるとともにdppの働きは系統による可変性を示す結果を得た.さらに,モノアラガイにおいてdppは,貝殻腺の中で右側に偏った左右非相称的な発現パターンを示すことから,dppが貝殻の巻きのメカニズムに関与するという新たな可能性を明らかにした.一方,アコヤガイにおいては,著しくアスパラギン酸に富んだ新規の可溶性殻体基質タンパク質アスペインのリコンビナントタンパク質を作成し,アスペインがカルサイトの選択的沈殿の制御因子であることをin vitroの結晶成長実験によって示した.
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Research Products
(15 results)