Research Abstract |
タンパク質のリン酸化の蛍光プローブを開発し,生命機能と疾患の理解に重要なキナーゼ(ERKおよびSrc)について,生きた細胞の核や細胞質,生体膜上に存在する数十ナノメートルサイズの微小ドメイン(lipidraft;リピッドラフト)等における同キナーゼの動態を可視化して明らかにした。また,ガン,骨粗鬆症,糖尿病など,様々な疾患に対する創薬の標的として期待される核内受容体について,その活性を制御するリガンドのアゴニスト性・アンタゴニスト性を高速識別できる蛍光プローブ,および細胞情報を担う生体脂質,生体小分子の蛍光プローブを開発した(J. Biol. Chem., 282, 10697,2007, Cancer Res.,67,8139,2007)。生物発光タンパク質(ルシフェラーゼ)のN末端とC末端を連結し,環状構造を有する新たな発光プローブの概念を創出した。ルシフェラーゼのN末端とC末端をプロテインスプライシングにより連結した。この環状ルシフェラーゼは発光能が失われていることを確認した。次にペプチド切断酵素(caspase-3)を作用させると,環状ルシフェラーゼの一部が切断され,発光能が回復することを明らかにした。この環状ルシフェラーゼは,マウス個体内で機能するcaspase-3の活性を低侵襲的に可視化する優れたプローブとなることを実証した(Angew. Chem. Int. Ed., 46,7595,2007)。 4種の核酸塩基を走査型トンネル顕微鏡(STM)の探針として各々用いることによって,探針と相補的な試料核酸塩基が選択的に検出できることを明らかにした。これを利用し,ペプチド核酸の一塩基多型(SNPs)の検出法,および塩基配列の直接可視化決定法を開発した(投稿中)。
|