2003 Fiscal Year Annual Research Report
ゾル-ゲル転写システムを活用した機能性有機・無機複合物質群の創製
Project/Area Number |
15105004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新海 征治 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20038045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 典史 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (10346819)
竹内 正之 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70264083)
佐田 和己 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (80225911)
新森 英之 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 講師 (40311740)
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Keywords | ゾル-ゲル反応 / 低分子ゲル / ポルフィリン / フラーレン / 水素結合 / シリカ / カーボンナノチューブ / 刺激応答性 |
Research Abstract |
本研究は、機能性有機集合体を有機・無機複合化に適するようにデザインし、ゾルゲル反応を適用することで新しい機能性有機・無機複合材料を開発することが目的である。計画初年度である本年度は、主に低分子ゲル化学を通した機能性有機鋳型の開発を行った。一部については、開発に成功した鋳型に対しゾル-ゲル反応を適用して有機・無機複合材料の構築にまで到達している。 1.発達したπ系を有する芳香族化合物を基体とする低分子ゲル化剤の開発 アミド基を有するポルフィリンゲル化剤を開発した。アミド基の置換位置により、ゲル繊維中でのポルフィリンの集積様式が一次元状、二次元状と大きくことなることをX線構造解析並びに粉末X線回折、IR、TEM、SEMなどにより明らかにした。さらにこのポルフィリンゲル化剤はC_<60>フラーレン包接能を有することが明らかとなり、ゲル中にC_<60>フラーレンが一次元状に配列した構造を与えた。さらに、多彩な構造を有する糖をポルフィリンに連結させた一連のゲル化剤を開発した。糖の構造多様性に基づき、多様な一次元ポルフィリン集積鋳型の作成を試み、一部はゾル-ゲル転写にも成功した。同様にトリフェニレンを母体とした水素結合性低分子ゲル化剤はゲル中において特殊な分子集積様式を生成することが特異的な光学特性からも明らかになった。また、ペリレンを基体としたゲル化剤が生成する繊維状πスタック集積体内が効率的なエネルギー移動系となることを発見した。来年度以降は、以上の集積体に対しゾル-ゲル反応を適用することで特異な光学・電気化学特性を有する有機・無機複合材料の開発を目指す。 2.炭素クラスター類(C_<60>フラーレン・カーボンナノチューブ)を基体とした鋳型の開発 炭素クラスター類は材料化学的な観点からも魅力ある素材であるが、その自己凝集性と分子表面の不活性な性質により有機・無機複合材料の作成は困難であった。我々は炭素クラスター類と相互作用し、かつゾル-ゲル反応の中間体であるシラノール類を強く吸着する両親媒性高分子を"のり"として炭素クラスター・高分子複合体を作成しここにゾル-ゲル反応を適用した。生成した構造においてTEM、SEM観察などから炭素クラスター類とシリカが接合している様子が明らかとなった。 3.刺激応答性低分子ゲルの開発 刺激応答性は材料に物性のスイッチング機能を付与する上で重要な性質である。我々は鋳型となる有機ゲル化剤に対し、ホスト-ゲスト相互作用や可逆的な化学結合能を付与することで、外部刺激によるゾル-ゲル相転移のスイッチングに成功した。これらの知見を元として、今後は刺激応答性有機・無機複合材料の開発も進める。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] M.Shirakawa et al.: "Hydrogen-Bond-Assisted Control of H versus J Aggregation Mode of Porphyrins Stacks in an Organogel System"Journal of the Organic Chemistry. 68. 5037-5044 (2003)
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[Publications] S.Kawano et al.: "Novel Host-guest Organogels as Stabilized by the Formation of Crown-ammonium Pseudo-rotaxane Complexes"Chemical Communications. 1352-1353 (2003)
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[Publications] M.Ikeda et al.: "Unusual Emission Properties of a Triphyenylene-based Organogel System"Chemical Communications. 1354-1355 (2003)
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[Publications] M.Ayabe et al.: "Binary Organogelators which Show Light and Temperature Responsiveness"Organic and Bioorganic Chemistry. 1. 2744-2747 (2003)
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[Publications] M.Shirakawa et al.: "[60]Fullerene-motivated Organogel Formation in a Porphyrin Derivative Bearing Programmed Hydrogen-bonding Site"Journal of the American Chemical Society. 125. 9902-9903 (2003)
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[Publications] M.Asai et al.: "Silica Gel Fabrication of [60]Fullerene Aggregates and Carbon Nanotubes Utilizing the Amphiphilic Nnature of Poly(N-vinylpyrrolidone) as a 'Glue'"Journal of Materials Chemistry. 13. 2145-2149 (2003)
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[Publications] S.Kawano et al.: "Sol-Gel Polycondensation of Tetraethyl Orthosilicate (TEOS) in Sugar-Based Porphyrin Organogels : Inorganic Conversion of Sugar-Directed Porphyrinic Fiber"Chemistry -A European Journal. 10. 343-351 (2004)
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[Publications] M.Asai et al.: "Facile and Stable Dispersion of Carbon Nanotubes into a Hydrogel Composed of a Low Molecular-weight Gelator Bearing a Tautomeric Dye Group"Chemistry Letters. 33. 120-121 (2004)
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[Publications] K.Sugiyasu et al.: "Visible Light Harvesting Organogels Composed of Cholesterol-based Perylene Derivatives"Angewandte Chemie International Edition. (in press). (2004)