2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15105005
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
榎 敏明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10113424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 賢一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (60262143)
宮崎 章 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (40251607)
高井 和之 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助手 (80334514)
針谷 喜久雄 産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (00357823)
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Keywords | ナノグラファイト / エッジ状態 / 分子磁性 / トンネル顕微鏡 / グラファイト端構造 / ホスト-ゲスト相互作用 / 電荷移動 / トンネルスペクトル |
Research Abstract |
グラファイト端のエッジ状態を超高真空トンネル顕微鏡を用いて解析した。超高真空加熱により端を清浄化し、水素終端をおこなったグラファイト端では、ジグザグ端に、理論で予言された非結合局在状態(エッジ状態)が存在し、その電子状態はフェルミ準位付近に状態密度のピークを持つことが明らかとなった。また、アームチェア端では、エッジが存在しないことが証明された。多くのグラファイト端のSTM観測の結果、アームチェア端の存在確率は大きく、一般的に長い端を構成し、ジグザグ端は、短く、欠陥的であることが見出された。このことは、フェルミ状態付近にエッジ状態の大きな状態密度をもつジグザグ端構造は不安定であり、エッジ状態の存在しないアームチェア端は安定であることを示している。エッジ状態に関しては、さらに、以下のことが明らかとなった。(1)アームチェア端に囲まれた短いジグザグ端のエッジ状態は、ジグザグ端を構成する炭素数に依存し、局所状態密度の空間分布は端からグラフェン内部に向かって特異な方向性をもつ。(2)有限サイズのジグザグ端では、ジグザグ端の両端での境界条件のため、閉じ込め効果が起こり、ジグザグ端中央にノードをもつ。(3)ジグザグ端のエッジ状態の局所状態密度の空間分布は積層構造に影響され、α炭素、β炭素で異なるエッジ状態の特徴を有する。これ等の実験結果を、強結合近似での理論計算で解析した結果、実験をほぼ再現できることが明らかとなった。 ナノグラファイトの3次元無秩序ネットワークを組む活性炭素繊維と臭素を用いて、ホスト-ゲスト相互作用による構造と磁性の挙動変化の解明をおこなった。ゲストである臭素は、ナノグラファイトの作るナノポア空間へ物理吸着を起こすもの、グラファイト面に接して電荷移動に関わるもの、グラファイトの端で炭素と共有結合を形成するものの3種存在することが見出された。電荷移動に関わる臭素は、ナノグラファイトのフェルミ準位を低エネルギーシフトさせ、エッジ状態の磁性への寄与を減らすことが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)