2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15106002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
萩行 正憲 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (10144429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長島 健一 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 助手 (60332748)
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Keywords | テラヘルツ波 / フェムト秒レーザー / 磁気光学効果 / フォトニック結晶 / マルチモードレーザー / 半導体表面 / テラヘルツ分光 / 生体高分子 |
Research Abstract |
本研究では、主として超短パルスレーザー励起によるテラヘルツ波の発生とその多様な応用の研究を進めることにしている。本年度は、1.磁気光学効果システムの構築と物性測定への応用、2.フォトニック結晶への応用、3.マルチモードレーザーダイオードシステムを用いた超安価・コンパクトシステムの開発をテーマとして研究を行なった。1.については、ヘリウムレス超伝導マグネットと試料冷却装置により5K〜室温で最大10テスラの磁場が印加できる時間領域テラヘルツ分光システムを開発した。このシステムは、偏光測定の点でも従来のフーリエ分光装置にないユニークな特徴を持ち、現時点では世界に類を見ないものである。この装置を用いて、SiドープGaAsの磁気光学効果、Ni0の反磁性共鳴、n型シリコンのサイクロトロン共鳴の測定とその解析を行なった。2.については、2層積層型金属開孔配列の偏光特性を測定し、積層の横ずれと2層の距離に依存して、透過と偏光スペクトルが大きく変化することを見出した。この現象を利用すれば、テラヘルツ領域のみならず、光領域でも新しい光学特性を有する素子を作製できる。3.については、2台のマルチモードレーザーの一方の温度を変化させることにより、テラヘルツ放射スベクトルを制御することに成功した。以上の他、水分量を制御したトリ卵白リゾチーム(タンパク質)のテラヘルツスペクトルを精密に測定し、中性子散乱で得られるスペクトルと類似の温度変化を示すことを世界で初めて見出した。これは、従来は、大型で高価な中性子施設で得ていたデータと等価に近いデータが、テラヘルツ分光装置で得られることを示したもので、生物物理の分野にインパクトを与えるものである。
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Research Products
(15 results)