2003 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸ガス排出抑制型低温高酸素ポテンシャル高速新製銑法の開発
Project/Area Number |
15106011
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
永田 和宏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70114882)
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Keywords | 鉄鉱石 / 還元 / 銑鉄 / マイクロ波加熱 / 低温製鉄 / 炭材内装ペレット / 還元速度 |
Research Abstract |
炭材を混合した酸化鉄粉末を加熱して銑鉄を生成させる反応は吸熱反応のため、急速過熱の場合にはその反応速度は熱供給律速になる。本研究では、還元・浸炭溶融におけるエネルギーをマイクロ波で供給する方法を採用した。マイクロ波炉は2.45GHz、最大出力5kWの炉を用い、試料が約1350℃になるまで加熱した。試料表面の温度は放射温度計で測定した。直径20mmの炭材内装ペレット、同ブリケットおよび石炭粉と鉄鉱石粉の混合物、いずれの場合も500〜1500sで溶解し銑鉄を生成した。マイクロ波の投入エネルギーを大きくするほど短時間で銑鉄が生成し、反応物の量を多くするほど銑鉄生成時間が長くなった。銑鉄中の炭素濃度は炭材内装ブリケットで1.5%程度、炭材内装ペレットでは1.5〜2.9mass%で鉄-炭素系合金の液相線近傍にあり、石炭粉と鉄鉱石粉の混合物では2.6〜3.9mass%で炭素濃度は大きくなった。すなわち、かさ密度が大きくなると銑鉄中の炭素濃度が小さくなった。シリコン、リン、硫黄、マンガン等不純物濃度は非常に低く、同試料を抵抗加熱電気炉で急速加熱した場合よりも低い濃度であった。このマイクロ波加熱のエネルギー効率は50%で石炭から電気エネルギーへの変換効率が40%なので、マイクロ波を経た石炭から銑鉄製造のエネルギー効率は20%となる。現溶鉱炉では効率50%程度なので、マイクロ波加熱だけでは炭酸ガス排出の抑制は期待出来ない。予用加熱とのハイブリッド加熱を研究する必要がある。グラファイト粉末と酸化鉄粉末の反応機構を調べるために高温X線回折装置で還元過程のその場測定を行った。メカニカルミリングで炭材と鉄鉱石の密着度を増すと還元開始温度が100℃程度低温側に下がると同時に、還元反応の活性化エネルギーが小さくなった。酸化鉄の還元反応のマイクロ機構を研究するために、ウスタイト単結晶の表面構造を走査型トンネル顕微鏡で観察した。その結果、表面は一辺が1.27nmのメッシュ状の超格子からなっている事が分かった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 関一郎, 永田和宏: "酸化鉄還元直後の還元鉄格子面間隔の直接観察"材料とプロセス. 16. 934 (2003)
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[Publications] K.Nagata: "Rapid Ironmaking at low Temperature and High Oxygen Potential"Proc.3^<rd> Intern.Conf.on Science and Technology of Ironinaking. Dusseldorf. 556-562 (2003)
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[Publications] I.Seki, K.Nagata: "Insite-observation of reduction of iron-oxide mixed with graphite using high temperature X-ray diffractometry"Proc.3^<rd> Intern.Conf.on Science and Technology of Ironinaking. Dusseldorf. 68-73 (2003)