2005 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸ガス排出抑制型低温高酸素ポテンシャル高速新製銑法の開発
Project/Area Number |
15106011
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
永田 和宏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70114882)
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Keywords | マイクロ波 / マグネタイト / 石炭 / 銑鉄 / 還元 |
Research Abstract |
12.5kWのマイクロ波炉を用い、マグネタイト鉱石粉と石炭粉の混合ペレットあるいは混合粉末から窒素ガス中で連続銑鉄製造法を研究した。反応ルツボ下部に出銑口を開けその下に銑鉄受けルツボを設置した。炉上部から石英管を反応ルツボ上に差込み、試料の連続投入を行った。投入直後からプラズマが発生し橙色の炎が観察された。結果、1.5kgの粉末から1.5時間で680gの銑鉄を連続的に得た。出銑比は約20t/^3・日である。ルツボは簡単に断熱されたがエネルギー効率は約10%であった。銑鉄の流出条件は炉床の傾斜が12°以上で、ルツボの材質はアルミナが良い。マグネシアは銑鉄との濡れ性が良く出銑口が詰る。スラグは生成しない。 5kWマイクロ波炉で混合粉末ペレットの加熱実験を行った。温度パターンは4段階であった。最初、磁場の効果で600℃まで急速に昇温する(第I)が、マグネタイトのキュリー点を越す600〜700℃で温度上昇が停滞する(第II)。その後、還元が進行し、ウスタイト(FeO)が生成し始めると電場の効果で急速に昇温する(第III)。さらに還元が進行し800℃〜1,000℃以上で鉄が生成すると鉄はマイクロ波を吸収しないため昇温は遅くなる(第IV)。そして約1,350℃で溶融銑鉄になる。昇温速度は試料重量に依らず、マイクロ波の強度に依存する。昇温速度が大きいほど銑鉄中の不純物濃度は小さくなり、逆に炭素濃度は大きくなる。 熱天秤設置型2.8kWマイクロ波で、グラファイト粉とマグネタイト試薬の混合粉末を加熱・反応させた。約600℃で還元が始まり800℃〜1,000℃で大きく重量減少する。ガスクロマトグラフによる排ガス分析では、第I、II期でCO_2が多くIV期に向けCOが多くなる。EPMAで分析した結果、反応中の試料の銑鉄粒の炭素濃度は粒毎に違っていたが試料の中心と表面で特徴的な差異はない。これは試料内部が局所発熱していたことを示している。 X線回折装置へのマイクロ波炉設置は、現在、設計が終了した。
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