2005 Fiscal Year Annual Research Report
既知および未知の細胞間シグナル分子による植物形態形成の調節
Project/Area Number |
15107001
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柿本 辰男 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (70214260)
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Keywords | サイトカイニン / 細胞間シグナル分子 / 気孔 / メリステモイド |
Research Abstract |
植物の形態形成には、動物の場合と同様に、細胞間のシグナル分子が重要な役割を果たしている。本研究では、既知の植物ホルモンがどのように形態形成に関わっているのかを深く追求するとともに、新規のシグナル分子をできるだけ多く同定し、その役割を解明していく。 既知ホルモンとして、サイトカイニンの情報伝達系について詳しく調べた。サイトカイニンは、シロイヌナズナでは、CRE1、AHK2、AHK3の3つの受容体によって受容され、リン酸基はAHP1〜5を介してレスポンスレギュレーターへと転移する。本年度はサイトカイニン情報伝達系の新しい因子AHP6を見出してその機能解析を行った。AHP6はリン酸転移メディエーターに似ているが、リン酸基を受け取る保存されたヒスチジン残基がない。試験管内リン酸転移系により、AHP6はCRE1-->AHP1〜5-->レスポンスレギュレーターへのリン酸転移を阻害することがわかった。また、AHP6は、根のprocambiumで将来のprotoxylemになる細胞で発現し、サイトカイニン低応答ドメインを作り出している。サイトカイニン応答が低下するとprotoxylemへと分化するのである。 新規の細胞間情報伝達因子としては、気孔パターニングの制御因子に関する解析を行った。通常、気孔は互いに隣接しないように形成される。Gene20-9はメリステモイド(孔辺細胞の前駆体)で発現しており、細胞外分泌シグナルを持つタンパク質をコードする。これらの遺伝子を過剰発現すると気孔形成が抑制され、遺伝子を破壊すると気孔が隣接して形成される。また、gene20-9の作用には受容体様タンパク質をコードするTMMを必要とすることがわかった。Gene20-10はメリステモイド母細胞で発現して、気孔系列への分化を制御しているらしい。
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Research Products
(3 results)