Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 安行 千葉大学, 工学部, 名誉教授 (10009235)
栃原 裕 九州大学, 大学院芸術工学研究院, 教授 (50095907)
垣鍔 直 名城大学, 理工学部, 教授 (30259874)
岩永 光一 千葉大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (70160124)
下村 義弘 千葉大学, 工学部, 助手 (60323432)
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Research Abstract |
本年度の研究実績の概要を以下に示す。 1.人工光環境に対する適応能に関する研究の一貫として,単波長光がヒトの時間感覚,中枢神経系に及ぼす影響を検討した。光条件は短波長(青色)光と長波長(赤色)の2種類で,時間推定は180sを推定させた。音刺激を用いて事象関連電位P300を求めた。時間推定は,赤色光で青色光より有意に短くなった。P300の頂点潜時赤色光で有意(p<0.05)に短くなった。 2.人工光環境が味覚に及ぼす影響を青年男性40名で検討した。遺伝的な影響が強く表れると言われている被験者の性格特性との関連に注目し,照明の影響を検討した結果,B型行動パターン被験者では低照度条件で有意に分泌量が多いことが明らかとなった。 3.人工音環境の一つとして間歇的に繰り返される暗算課題と白色雑音暴露に対する心血管反応を比較し,暗算では休憩に対応して血圧が低下するが,白色雑音では血圧の上昇が累積されることを認め,ストレスの質的違いと適応の関係を考察した。また,同じ被験者群で異なる3日に繰り返し測定した暗算課題に対する血圧と心拍出量の変化量の分散の約80%は被験者要因によって説明でき,これらの反応は個人で再現性のある型として解釈できることを確認した。 4.低湿度が若年者の生理・心理反応に及ぼす影響では,室温25℃,相対湿度10%,30%,50%の3条件で線毛の活動性や眼,皮膚の生理機能を測定した。若年者を被験者とした第一実験では,相対湿度30%以下の環境で眼や皮膚が乾燥し,相対湿度10%の環境で,眼や皮膚に加え鼻腔の乾燥,また,平均皮膚温が低下することを明らかにした。その反応の個人差について検討した。 5.日本人若年男性を対象に,皮膚温を一定に維持し,発汗開始時の体温とふるえ発現時の体温を実験的に求めた。一方,低温及び暑熱空気環境に曝露し,体温が一定の条件で,発汗及びふるえが発現した時の皮膚温の閾値も求めた。その結果,Null Zone(ヌルゾーン)に個人差が見られ,皮膚温と体温のヌルゾーンに正の相関があることを確かめた。現在は,ヌルゾーンと非温熱性要因との関連を分析すると共に,昨年実施した双生児を対象とした実験の結果から遺伝的要因の影響を検討している。
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