2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物オルガネラ間相互作用による異物認識機構に関する分子解析
Project/Area Number |
15108001
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
白石 友紀 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10033268)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一瀬 勇規 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50213004)
稲垣 善茂 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (50280764)
豊田 和弘 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (50294442)
|
Keywords | 植物細胞壁 / アピラーゼ(NTPase) / 情報伝達系 / 細胞周期関連遺伝子Cdc27B / 小胞体輸送関連遺伝子Rerl / 防御応答 / 微生物関連分子パターン(MAMPs) / WRKY遺伝子 |
Research Abstract |
感染サイクルの大半を細胞外(植物表面や細胞間隙)で営む病原糸状菌や細菌をモデルとして、分子パターン認識と病原性エフェクターの作用機構について解析してきた(H15〜18年度)。今年度は、糸状菌由来エフェクター(サプレッサー)の分子標的である宿主植物の細胞壁アピラーゼの相互作用分子の解析を進め、TOF/MS解析から複数の情報伝達や酸化還元関連分子の存在を示した。また、アピラーゼで生成するリン酸は細胞壁に構成的に存在するペルオキシダーゼ(POX)依存性の活性酸素生成を亢進し、さらに一群の細胞外POX遺伝子を転写レベルから活性化することを示した。一方、表層でのパターン認識に続く過敏感細胞死の分子機構について、エリシチンをモデルに解析した結果、細胞周期(M期)制御系の構成因子NbCdc27Bは過敏感細胞死には直接関与しないが、抵抗性機能発現にそのC末端領域が必要である可能性が示唆された。また、細菌由来分子パターン(フラジェリン)による下流の情報伝達・遺伝子応答についてマイクロアレーで解析し、植物固有の転写因子WRKY41を同定した。WRKY41はフラジェリン処理で急速に発現が誘導されるが、エフェクターにより発現が抑えられる。さらに、WRKY41高発現体ではPseudomonas syringaeに対する抵抗性が増高したが、逆にErwiniacarotovoraに対する感受性は高まった。この結果は、WRKY41はSA系に対して正に作用していることを示す。しかし、アピラーゼ高発現体の解析から、SA経路やJA経路とは異なる情報伝達系の存在も示されている。以上から、細胞壁には植物独自の異物認識機構が存在し、細胞壁始発のシグナルは感染防御を担う様々な細胞小器官へ情報伝達され、固有の細胞内因子の活性化あるいはフィードバック機構(増幅)を介して、最終応答(抵抗性発現)が制御されているものと考察した。
|
Research Products
(18 results)