2003 Fiscal Year Annual Research Report
動物インフルエンザウイルスの生態解明と新型ウイルス対策
Project/Area Number |
15108004
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
喜田 宏 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10109506)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
迫田 義博 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (40333637)
岡崎 克則 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90160663)
梅村 孝司 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (00151936)
伊藤 壽啓 鳥取大学, 農学部, 教授 (00176348)
河岡 義裕 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70135838)
|
Keywords | インフルエンザウイルス / グローバルサーベイランス / ワクチン / 抗ウイルス薬 / 診断 |
Research Abstract |
本研究は、家禽と家畜のインフルエンザの被害を未然に防ぐとともに、ヒトの新型インフルエンザウイルスの出現に備え、その予防と制圧に資することを目的とする。 1.動物インフルエンザのグローバルサーベイランスによるウイルスの分布の解明 日本、モンゴルにおいて渡りガモからのウイルス分離を試みた。999検体のカモの糞便から31株のインフルエンザウイルスを分離同定した。通年通り、H3型およびH4型インフルエンザウイルスが分離されたウイルスの大半を占めたが、H7型のウイルスも多数分離された。 2.ワクチン候補株を選抜とその系統保存 HA亜型(15通り)とNA亜型(9通り)の組み合わせから135通りのウイルスをワクチン候補株として保存する。本年の野外調査で得られたウイルス株も利用し、現在までに101通りのウイルスをワクチン候補株として保管が完了した。これらのウイルスについてはその抗原性、発育鶏卵における増殖性、生体における病原性などを確認し、データベース化している。 3.ウイルスの宿主域および病原性の決定因子の同定 昨年までに分離されたH9N2インフルエンザウイルスの遺伝子解析を実施した。その結果、1997年に香港でヒトから分離されたH5N1ウイルスの内部遺伝子の供給源と考えられているA/quail/Hong Kong/G1/97(H9N2)タイプとは別の内部遺伝子を持ったH9N2ウイルスが家禽の間で受け継がれていることがわかった。また、インフルエンザ感染動物脳内におけるウイルスゲノムの持続様式の解明や、解熱剤と脳症発症の関連を解明した。 4.安全なワクチンの開発 ワクチン候補株からの株の選抜、高増殖性の遺伝子再集合体の作製を完了し、H5型とH7型インフルエンザウイルスに対する粘膜ワクチンを現在調整中である。免疫後、A/Chicken/Yamaguchi/7/04(H5N1)の攻撃に対する感染防御を確認する。 5.新規抗ウイルス薬の開発 in vitro試験では3-F-シアリルフォスファチジルエタノールアミンの抗ウイルス効果が確認されていたが、in vivo試験では効果が確認できなかった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Liu, J.H.et al.: "Phylogenetic analysis of hemagglutinin and neuraminidase genes of H9N2 viruses isolated from migratory ducks"Virus Genes. 27(3). 291-296 (2003)
-
[Publications] Liu, J.H.et al.: "H9N2 influenza viruses prevalent in poultry in China are phylogenetically distinct from A/quail/Hong Kong/G1/97 presumed to be the donor of the internal protein genes of the H5N1 Hong Kong/97 virus."Avian Pathology. 32(5). 551-560 (2003)
-
[Publications] Liu, J.H.et al.: "Phylogenetic analysis of neuraminidase gene of H9N2 influenza viruses prevalent in chickens in China during 1995-2002"Virus Genes. 27(2). 197-202 (2003)
-
[Publications] Tanaka, H. et al.: "Neurotropism of the 1997 Hong Kong H5N1 influenza virus in mice."Veterinary Microbiology. 95(1-2). 1-13 (2003)
-
[Publications] Park, C.H.et al.: "Persistence of viral RNA segments in the central nervous system of mice after recovery from acute influenza A virus infection"Veterinary Microbiology. 97(3-4). 259-268 (2003)
-
[Publications] Sunden, Y. et al.: "The effects of antipyretics on influenza virus encephalitis in mice and chicks."Journal of Veterinary Medical Science. 65(11). 1185-1188 (2003)