2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経細胞の生死制御機構解明:新規因子発見と脳変性疾患モデル作出
Project/Area Number |
15109002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野村 靖幸 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00034041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大熊 康修 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (20127939)
上原 孝 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (00261321)
金子 雅幸 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (10322827)
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Keywords | ニューロン / グリア / ストレス / アポトーシス / 小胞体 / ERAD / 脳虚血 / ユビキチンリガーゼ |
Research Abstract |
パーキンシン病、アルツハイマー病などの神経変性疾患においては、小胞体ストレスが重要な役割を演じていることが知られている。そこで脳神経変性疾患におけるニューロン死惹起機構および小胞体ストレスとの関連について検討した。本研究において得られた知見を以下に示す。 1)細胞死(アポトーシス)実行因子であるカスパーゼの生体内調節機構に着目し,酵母2-ハイブリッド法からglucocorticoid modulatory element-binding protein 1(GMEB1)を単離した。GMEB1は上流カスパーゼであるカスパーゼ-2,8,9の活性化・多量化に必至なプロドメインに結合することで、カスパーゼの活性化を抑制し、アポトーシスを制御した。さらに神経特異的にGMEB1を発現するトランスジェニックマウスを作出した.本TGマウスに局所脳虚血を施したところ,脳浮腫および脳梗塞層形成が著明に抑制された.したがって、GMEB1は生体内カスパーゼ制御因子として作用していることが示唆された。 2)小胞体ストレスによるMnSODの誘導が、小胞体ストレス伝達分子IRE1とTRAF2との結合を介したNF-κBおよびAP-1の活性化によるものであることを明らかにした。 3)HRD1はERADを介してAPPを分解することでAβの産生を減少させることを見出した.また、ATF6とXBP1によってAPPが分解されることを示した。(特許出願中) 4)脳虚血モデルを用いて、ケミカルシャペロンである4-フェニル酪酸を投与した時の神経細胞死への作用を検討した結果、4-フェニル酪酸に脳虚血障害改善作用が認められた。さらに4-フェニル酪は、小胞体ストレス反応におけるGRP78誘導,転写因子CHOPの誘導、小胞体ストレスセンサーIRE1の下流で惹起されるXBP-1のスプライシング、eIF2αリン酸化などの小胞体ストレス応答を軽減した。
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Research Products
(8 results)