2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経細胞の生死制御機構解明:新規因子発見と脳変性疾患モデル作出
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15109002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野村 靖幸 北海道大学, 大学院・医学研究科, 招聘教員 (00034041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 良輔 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90216771)
大熊 康修 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (20127939)
上原 孝 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (00261321)
金子 雅幸 千葉科学大学, 薬学部, 講師 (10322827)
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Keywords | アポトーシス / 小胞体ストレス / カスパーゼ / 内在性抵抗因子 / 小胞体関連タンパク質分解 / ユビキチン / プロテアソーム / GMEB1 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
野村・上原グループでは,glucocorticoid modulatory element-binding protein 1(GMEB1)のアポトーシス抑制における詳細なメカニズムを検討した.GMEB1はcaspase-2ばかりでなくイニシエータであるcaspase-8や-9にも結合した.GMEB1の過剰発現はFasリガンド刺激に伴うcaspase活性化とそれに続くアポトーシスを顕著に抑制した.このとき,GMEB1はFasリガンドに伴って認められるcaspase-8活性化に必須なDISC形成を抑制した.また,内在性GMEB1蛋白質をsiRNAによって減少させるとアポトーシス刺激に過敏になることがわかった.また,カスパーゼ結合にはGMEB1のC末端が重要であり,このドメインを欠失した変異体はカスパーゼ活性化やアポトーシスに対してまったく効果を示さなかった.つぎに,GMEB1神経特異的発現トランスジェニック(TG)マウスを中大脳動脈閉塞による局所脳虚血を施し,細胞死への影響を検討した.野生型マウスと比較してTGマウスでは有意に梗塞巣や浮腫形成が抑制されていた.このことから,GMEB1はプロカスパーゼに特異的に結合することができ,その結果,種々のストレス刺激や脳虚血によるアポトーシスを顕著に抑制することがわかった. 野村・金子・大熊グループでは,ERAD関連ユビキチンリガーゼHRD1が脳内において黒質の緻密層に多く存在することを見い出した.さらに,HRD1の基質となるタンパク質を検討したところ,HRD1が家族性パーキンソン病(AR-JP)の原因遺伝子Parkin(ユビキチンリガーゼ)の基質タンパク質Pael-Rをユビキチン化し,分解を促進することを明らかにした.また,HRD1はPael-Rの蓄積によって生じる細胞死を抑制することを示した. 高橋グループでは,小胞体ストレスによりParkinのリン酸化が亢進して,ユビキチンリガーゼ活性が減弱することを見い出した.また,Pael受容体をアデノウイルスベクターに組み込んで神経特異的に発現させる系を構築し,このウイルスを線条体に打ち込むことによって,逆行輸送により黒質に発現させる技法を確立した.
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Research Products
(7 results)