2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内1分子計測法を用いた走化性情報処理システムの解析
Project/Area Number |
15109003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柳田 敏雄 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (30089883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩根 敦子 大阪大学, 生命機能研究科, 助手 (30252638)
佐甲 靖志 大阪大学, 生命機能研究科, 助教授 (20215700)
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Keywords | 走化性 / 1分子 / 細胞性粘菌 / 神経 / ゆらぎ / 情報伝達 / GPCR / NGF |
Research Abstract |
本研究は、神経細胞や免疫細胞・粘菌細胞などの真核細胞にみられる走化性(化学走性)の情報処理メカニズムを解明することを目的とする。我々が開発してきた細胞内1分子計測法を用いて、化学物質の受容から細胞運動の制御にいたる情報処理過程を生きた細胞内で1分子イメージングすることにより、熱ゆらぎの影響を受けながら作動している情報伝達分子の振るまいを明らかにする。 本年度は本研究の初年度にあたるため、研究に必要となる対物レンズ型1分子蛍光顕微鏡装置の構築を行なった。装置の動作確認として、蛍光色素1分子の検出確認、および褪色時間の計測を行なった。結果、生きた細胞上で蛍光色素Cy3B1分子を数十秒、蛍光性蛋白質GFP(およびYFP)1分子を約5秒間観察でき、本研究に必要な基本性能を有することを確認した。これらの蛍光色素は2色同時に観察可能であり、さらに現在、Cy5など他の蛍光色素1分子の同時イメージングが可能になるように装置の改良を行なっている。 構築した1分子蛍光顕微鏡装置を用いて、走化性情報伝達系を構成するGPCR型走化性受容体、G蛋白質α-サブユニット、G蛋白質β-サブユニット、癌抑制遺伝子PTEN、PIP3結合蛋白質(PHドメイン蛋白質)などの細胞内での振るまいを調べた。これらの蛋白質のGFP(あるいはYFP)融合蛋白質を細胞内で1分子イメージングし、拡散係数、細胞膜滞在時間、細胞膜結合数、オリゴマー形成などを計測した。その結果、受容体の側方拡散やPHドメイン蛋白質の膜滞在時間が走化性刺激依存的に変化することを見い出した。今後は、こうした走化性刺激依存的な変化についてさらに詳細な解析を行ない、走化性情報処理との関連を調べる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Sako, T.Yanagida: "Single-molecule visualization in cell biology"Nature Rev.Mol.Cell Biol.. 4. SS1-SS5 (2003)
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[Publications] T.Yanagida, Y.Ishii: "Stochastic processes in nano-biomachines revealed by single molecule detection"Biosystems. 71. 233-244 (2003)
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[Publications] K.Hibino et al.: "Single- and multiple-molecule dynamics of the signaling from H-Ras to cRaf-1 visualized on the plasma membrane of living cells"Chem.Phys.Chem.. 4. 748-753 (2003)