2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内1分子計測法を用いた走化性情報処理システムの解析
Project/Area Number |
15109003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柳田 敏雄 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (30089883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐甲 靖志 独立行政法人理化学研究所, 中央研究所, 主任研究員 (20215700)
岩根 敦子 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30252638)
上田 昌宏 大阪大学, 生命機能研究科, 特任教授 (40444517)
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Keywords | 走化性 / 1分子 / 細胞性粘菌 / 神経細胞 / ゆらぎ / 細胞内情報伝達 / GPCR / 神経成長因子NGF |
Research Abstract |
本研究は、化学刺激の受容から細胞運動の制御にいたる走化性情報伝達過程を細胞内1分子計汎法により解析し、熱ゆらぎの影響を受けながらはたらく情報伝達分子の特性を明らかにするとともに、確率的情報処理の理論モデルを構築することを目的としている。 (1)実験研究:走化性情報伝達ネットワークの細胞内1分子イメージング解析 走化性情報伝達システムを構成する受容体、G蛋白質、PI3K、PTEN、PHドメイン含有蛋白質等の細胞内1分子イメージング解析を行い、キネティックパラメーター(リガンド解離速度、細胞膜滞在時間など)、拡散係数などを決定した。結果、各種情報伝達分子に多状態性が認められると共に、分子状態が細胞極性と関連して空間的に分離することが分かってきた。例えば、PTENの細胞膜滞在時間は細胞の前後で異なっており、同じ分子が異なる特性を示した。 (2)理論研究:確率的情報処理の理論モデル構築 受容体が環境からのシグナルを受け取り細胞内にセカンドメッセンジャーを生成するシグナル受容・伝達過程の確率論モデルを構築した。この過程におけるノイズの生成・伝搬について理論的に整理することによって、受容体の確率的な特性がシグナルのSN比にどのように寄与するのかを定量的に議論出来るようになった。この確率論モデルでは、シグナルの入出力関係だけでなく、シグナルとノイズ(SN比)の入出力関係を記述できる。この記述法を走化性情報伝達に適用したところ、これまで実験的に計測されてきた「走化性効率のリガンド濃度依存性・勾配依存性」「勾配閾値のリガンド濃度依存性」を説明することができた。1分子計測によって実験的に得られてきた走化性情報伝達分子の確率的特性・多状態性がシステムの情報伝達に与える影響について定量的に議論することが可能となるだろう。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Input-output relationship in galvanotactic response of Dictyostelium cells2007
Author(s)
Sato, M.J., Ueda, M., Takagi, H., watanabe, T.M., Yanagida, T., Ueda, M.
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Journal Title
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[Journal Article] Single molecule analysis of chemoattractant-stimulated membrane recruitment of a PH domain-containing protein2006
Author(s)
Matsuoka, S., lijima, M., Watanabe, T.M., Kuwayama, H., Yanagida, T., Devreotes, P., Ueda M
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Journal Title
J. Cell Sci. 119
Pages: 1071-1079
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[Journal Article] Tumor suppressor PTEN acts through dynamic interaction with the plasma membrane2006
Author(s)
Vazquez, F., Matsuoka, S., Sellers, W.R., Yanagida, T., Ueda, M., Devreotes, P.
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Journal Title
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103
Pages: 3633-3638
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