2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内1分子計測法を用いた走化性情報処理システムの解析
Project/Area Number |
15109003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柳田 敏雄 Osaka University, 生命機能研究科, 教授 (30089883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐甲 靖志 独立行政法人理化学研究所, 中央研究所, 主任研究員 (20215700)
岩根 敦子 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (30252638)
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Keywords | 走化性 / 1分子 / 細胞性粘菌 / 神経細胞 / ゆらぎ / 細胞内情報伝 / GPCR / 神経成長因子NGF |
Research Abstract |
ゆらぎの中で安定した応答を行なう仕組みの解明は、細胞内情報処理研究における重要な課題となっている。本研究では、神経細胞や粘菌細胞などにみられる走化性応答を主たる研究対象とし、我々が開発してきた細胞内1分子計測法を適用して、刺激の受容から細胞運動の制御にいたる情報伝達過程において、熱ゆらぎの影響を受けながらはたらく情報伝達分子の振る舞いを明らかにすることを目的とする。また、実験データーに基づいた確率的情報処理の理論モデルを構築する。これまでの研究により神経細胞の走化性については、ほぼ当初の研究計画を達成できたので、今年度は細胞性粘菌の走化性情報伝達系に研究を集中化し、主に3つの研究成果を得た。(1)走化性情報伝達システムを構成する受容体、G蛋白質、PI3K、PTEN、PHドメイン含有蛋白質等の細胞内1分子解析を行い、各分子の確率的特性(反応速度・拡散係数など)と細胞極性の関連について調べたところ、これらの分子の反応速度論的多状態性が明らかとなり、さらに、その特性が細胞の前後軸極性に沿って空間的に分離していることが分かった。(2)前年度までに構築したシグナル伝達の確率理論モデルを用いて上記の実験結果を解析したところ、情報伝達分子が反応速度論的多状態性を取ることにより、細胞の前後軸極性に沿ってシグナルのSN比が空間的に変調され、情報伝達効率が異なることが示唆された。細胞の前方部では微弱なシグナル変化に敏感に応答できるが、後方部では時間積算効果によりシグナルが時間平均化されることで応答性が低くなっている可能性が示唆された。(3)ランジュバン型方程式によって細胞の運動を数理的に記述し、勾配入力刺激下での方向性のある走性運動の特徴付けに成功した。さらに、こうした解析から、入力信号のゆらぎが細胞運動の効率を上げる効果をもつこと(ノイズ印加によるシグナル増強の可能性)を見い出した。
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Research Products
(49 results)
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[Journal Article] Input-output relationship in galvanotactic response of Dictyostelium cells2007
Author(s)
Sato, M. J., Ueda, M., Takagi, H., Watanabe, T. M., Yanagida, T. and Ueda, M
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Journal Title
Biosystems 88
Pages: 261-270
Peer Reviewed
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[Journal Article] Brownian motion, fluctuation and life2007
Author(s)
Yanagida, T., Ueda, M., Murata, T., Esaki, S., and Ishii, Y
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Journal Title
Biosystems 88
Pages: 228-242
Peer Reviewed
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[Journal Article] Role of Multiple Bonds Between the Single Cell Adhesion Molecules, Nectin and Cadherin, Revealed by High Sensitive Force Measurements2007
Author(s)
Tsukasaki, Y., Kitamura, K., Shimizu, K., Iwane, A. H., Takai, Y., and Yanagida, T.
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Journal Title
J. Mol. Biol. 357
Pages: 996-1006
Peer Reviewed
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