2004 Fiscal Year Annual Research Report
音楽の認知過程と情動過程:その相互作用に関する文化比較とプロセスモデル構築
Project/Area Number |
15200019
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
阿部 純一 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40091409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 悦子 上野学園大学, 国際文化学部, 教授 (10219165)
安達 真由美 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (30301823)
吉野 巌 北海道教育大学, 教育学部, 助教授 (60312328)
岡田 顕宏 札幌国際大学, 人文学部, 専任講師 (20337083)
菱谷 晋介 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30128079)
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Keywords | 音楽 / 認知過程 / 情動過程 / 認知モデル化 / 知覚的体制化 / 文化比較 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究では、音の流れは心内でどのような処理を経て"音楽"として認知されるのか、また、音楽に対する情動反応はどのように生じるのか、そのメカニズムを明らかにすることを目的としている。具体的には、聴き手が、入力された音列をどのように知覚的に体制化(organize)するのか、そしてその結果としてどのような音列を"音楽"として認知することになるのか、さらには、音楽を聞いて生じる情動的反応はどのような心理次元から構成されるのか、等々の疑問に答えることを目的としている。 本年度は、昨年度に引き続き、"調性的体制化(tonal organization)"と"リズム的体制化(rhythmic organization)"の2種類の処理の相互作用のあり様を探る実験研究を行い、リズム的体制化の結果が調性的体制化に影響を及ぼすことを明らかにした(Abe & Okada,2004)。また、調性的体制化の処理過程の計算論的モデルを新たに構築し、従来の代表的調解釈モデル2種とのパフォーマンスの比較を行い、著者らの新しいモデルが、それら他のモデルよりも、よりよく聞き手の調性処理を予測できることを実証した(Yoshino & Abe,2004)。さらには、調の知覚の規定因を探る実験を行い、その結果から、調の知覚の第1規定因は、メロディを構成する音高カテゴリのセットであること、また、従来から論争の的となってきた、メロディが局所的にもつ特定の音程や音高がさらなる規定因となるとする考えは妥当ではないことを明らかにした(Matsunaga & Abe, 2004, in press)。その他、和音進行に対して感じる感情的印象の心理次元を探る実験研究(Yasuda & Abe,2004)や、歌の記憶における言語と音楽の相互作用、および、そこに関わるリズムと旋律線の影響に関する実験研究(Nakada & Abe,2004)、などを行った。
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