2005 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞(ES・神経幹・骨髄幹細胞)のDA神経への分化誘導及び再生再建医学への応用
Project/Area Number |
15200026
|
Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西野 仁雄 名古屋市立大学, 学長 (60073730)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 裕 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (90285198)
飛田 秀樹 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00305525)
|
Keywords | 分化・発達 / ES細胞 / 神経幹細胞 / 神経細胞 / 神経移植 |
Research Abstract |
AT motif binding factor 1(ATBF1)は約400kDの巨大転写因子であり、神経幹細胞が神経細胞へ分化する際に発現上昇する。本年度は、このATBF1の神経分化誘導のメカニズム及び、幼若時の成育環境が神経の分化に与える影響について解析した。 1.ATBF1の細胞周期制御及び神経分化への作用の解析 1)E14.5日ラットの脳におけるATBF1の発現を調べると、隆起結節、内側被蓋野、峡、橋、上丘、脊髄に豊富に発現していることがわかった。隆起結節では、ATBF1は主に脳室から離れた分化層に発現し、nestin陽性細胞とは共存せず、β-tubulin III細胞と共存していた。 2)E14.5日のラットの隆起結節より調節した神経上皮細胞を無血清N-2培地で培養し、neurosphereを形成させた。この神経上皮細胞にATBF1を過剰発現させるとnestinの発現が抑制されるとともに、β-tubulin陽性となった。 3)ATBF1の導入によってnestin特異エンハンサー活性が抑制され、Neurod1プロモーター活性が増強されることがluciferase assayでわかった。 4)ATBF1の導入により、マウスneuroblastoma細胞株であるNeuro2A細胞におけるBrdUの取り込みが抑制された。この時G1/G0期(M1期)の細胞が倍増することから、ATBF1は細胞周期を抑制することが明らかになった。 2.個体レベルの研究 生後3週間(離乳直後)より5週間にわたり、豊かな環境(広い、遊び道具、運動道具のあるケージ)内で飼育したラット(EEラット)と普通の環境(標準ケージ)内で飼育したラットの行動及び脳内変化を解析した。EEラットは、棒上歩行において、開始時間が早く、所要時間が短く、踏み外すことはなかった。また、狭い小筒の中に入れた際は、rearingや立ち上がって壁面にタッチする等の行動は少なかった。すなわち運動能力とモチベーションの上昇がある一方、不安が少なく情緒的に安定していることがわかった。EEラットでは、新生した神経細胞の移動が増大し、GDNFをはじめとする神経栄養因子が増量すること、またドパミン神経活性の増大が認められた。
|
Research Products
(7 results)
-
-
-
-
-
-
-
[Book] 神経研究の進歩2006
Author(s)
浦川 将, 飛田秀樹, 西野仁雄
Total Pages
68-76
Publisher
医学書院
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より