2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15200028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小川 智 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (90283746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北尾 康子 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (00019613)
堀 修 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (60303947)
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Keywords | アストロサイト / 脳虚血 / 小胞体ストレス / 小脳発生 / グルタミン酸 / プルキンエ細胞 |
Research Abstract |
ORP150(150 kDa Oxygen Regulated Protein)はアストログリアの初代培養系より精製・クローニングされた新規ストレス蛋白である。砂ネズミの一過性総頚動脈結紮によって海馬CA1領域に遅発性神経細胞死(DND)がおこり、この細胞死は虚血耐性を獲得させた個体では起こらない。ORP150は虚血耐性を獲得した砂ネズミCA1領域に極めて強く発現し、また、あらかじめCA1領域にアデノウイルスベクターを用いてORP150を遺伝子導入することにより、神経細胞死を救済することができることを示した。DNDでは1-2週間で神経細胞死が完成する「慢性虚血性神経細胞死モデル」である。このパラダイムにおいてもORP150は神経細胞死を抑制することが示された。 小胞体における小胞体ストレス応答は虚血や変性に伴う神経細胞死に関わることが明らかになっている。マウスにおける小脳発生では神経細胞死がおこることが知られているが、新規小胞体ストレス蛋白であるORP150は、生後4-8日にかけて小脳、特にプルキンエ細胞に強く発現、GRP78、GRP94、HSP70などとは異なった発現パターンを示した。ORP150を過剰発現させたトランスジェニックマウス(TG)では、プルキンエ細胞に強いORP150の発現を認めるとともに、ORP150ノックアウトヘテロ接合体(KO)では、その発現は明らかに減弱していた。ORP150ノックアウトマウスの発生初期の小脳プルキンエ細胞を観察すると、出生後4-6日にかけて、TUNEL法および活性化caspase-3による免疫染色で胞死が検出される。この細胞死は、野生型、ORP150トランスジェニックマウス(Tg ORP150)の順に、すなわち、ORP150の発現が強くなるほど抑制される傾向にあった。さらに、Tg ORP150では、プルキンエ細胞の密度も、明らかに増加していた。ところが、行動テストで評価された小脳の機能は、逆にTg ORP150で、傷害されており、発生段階における小胞体ストレスが、ホストのプルキンエ細胞の至適密度を決めると考えられる。また、グルタミン酸拮抗薬であるMK-801の投与により、TGと同様の傾向が再現された。ORP150は海馬神経においてグルタミン酸による細胞内Ca++上昇を抑え、細胞死を抑制することから小脳発生過程における神経細胞死にも小胞体を介する神経細胞死の関与が示唆される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 宮城 ほか: "Gene therapy for prostate cancer using the cytosine deaminase/uracil phosphoribosyltransferase suicide system"J Gene Med.. 5. 30-37 (2003)
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[Publications] 池松 ほか: "The expression of a novel stress protein '150-kDa oxygen regulated protein' in sudden infant death"Leg Med (Tokyo). 5. 15-19 (2003)
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[Publications] 北尾 ほか: "ORP15O/HSP12A regulates purkinje cell survival : a role for ER stress in cerebellar development"J.Neurosci.. 24. 1486-1496 (2004)
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[Publications] 堀 ほか: "Role of Herp in the endoplasmic reticulum stress response"Genes to Cells. (in press). (2004)