2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体関節における多モード適応潤滑機構と自己組織化・修復機構の解明
Project/Area Number |
15200037
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村上 輝夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90091347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤江 義則 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (10284530)
中嶋 和弘 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70315109)
坂井 伸朗 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (60346814)
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Keywords | 生体関節 / 多モード適応潤滑 / 自己組織化 / 関節軟骨 / 軟骨細胞 / バイオメカニクス / バイオトライボロジー |
Research Abstract |
超高齢化社会における関節症患者の急増を防ぐために,変形性関節症等の発症の事前防止策の提案や再生軟骨の機能向上をめざして,関節の潤滑機構と変性・修復機構の関連を解明することを試みた.とくに,多モード適応潤滑機構の視点にたって関節摩擦面の損傷進行・修復を左右する吸着膜・ゲル膜形成における自己組織化現象や軟骨組織の圧縮ひずみ挙動に着目して,原子間力顕微鏡,共焦点レーザ走査蛍光顕微鏡,全反射(エバネッセント)蛍光顕微鏡を駆使して系統的な観察研究を行った.代謝挙動を支配する軟骨細胞の力学的環境に対する応答を探求するために,新鮮な軟骨組織の圧縮試験や,軟骨表面の摩擦や透過性を考慮した軟骨モデルに対する3次元有限要素応力解析とともに,軟骨細胞・アガロース複合体の培養試験を実施した. 軟骨組織用の圧縮試験機(マイクロ位置制御可能)を開発し,固液二相体における応力のひずみ速度依存性や経時的ひずみ挙動を観察し,細胞をマーカとして軟骨内部における局所ひずみの変化を観測した.また,有限要素解析に基づき表面状態の影響を評価できた. 生体軟骨の摩擦試験では,リン脂質や蛋白成分から構成される吸着膜およびプロテオグリカンから構成される表面層ゲル膜が低摩擦・低摩耗機能を有することを示した.混合吸着膜やゲル膜形成では,自己組織化が重要な役割を演じるものと推測され,各種のLB(ラングミュア・ブロジェット)膜を作成し,摩擦低減を確認するとともに,全反射顕微鏡により吸着状態の変化を観察できた.人工軟骨材料(PVAハイドロゲル)の往復動試験により関節液構成成分の有効性を探求した.とくにヒアルロン酸と蛋白成分の共存下で,とくに,アルブミンとγグロブリンの最適組成(1:2または2:1)時に最も良好な耐摩耗性を確認し,対応する自己組織化を蛍光観察により確認できた.
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Research Products
(5 results)