2004 Fiscal Year Annual Research Report
DNAコンジュゲート材料の設計とバイオハザードセンシングへの応用
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15200039
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
前田 瑞夫 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 主任研究員 (10165657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宝田 徹 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 研究員 (30336010)
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Keywords | ナノ粒子 / コロイド / 電気泳動 / DNA / 二重らせん / 遺伝子検査 / 温度応答性高分子 |
Research Abstract |
近年、環境情報の変化をいち早く捉え警報を発する、サーベイランス・センサシステムが強く求められている。本研究は、バイオハザードセンシングの精密化・高速化・簡易化を目指して、「遺伝子レベル」でのバイオ検知システムを開発することを目的としている。具体的には、申請者らが独自に開発したDNA集積ナノ粒子が示す遺伝子配列完全応答を、その基幹技術として用いている。平成16年度は、完全応答の根本原理である「DNA集積ナノ粒子の塩に対する分散安定性が、相補鎖を添加して粒子表面上で二重鎖を形成すると著しく低下するが、末端一塩基変異鎖を添加しても全く変化しない」という特異現象を、界面動電化学的に考察した。その結果、完全相補的な二重鎖DNAを表面上に集積したナノ粒子よりも、末端にミスマッチが存在する二重鎖DNAを集積したナノ粒子の方が、電気泳動移動度が著しく大きくなることを見出した。さらにその主な原因を探るために、得られた測定データの理論モデル解析を試みたところ、末端に一塩基ミスマッチが存在すると、電荷密度にはほとんど変化が見られないが、流体力学的な抵抗値は約80%に減少していることが分かった。これは、二重鎖DNAの末端部位に構造化学的な柔軟性が生じたためであると解釈することができる。この事象とナノ粒子の分散安定性変化との間に密接な相関があると予想されるが、その詳細な検証は次年度以降への課題である。一方で、上記の特異現象の一般性を確認するために、市販のポリスチレン・ラテックス粒子を用いても同様の現象が見られるか、昨年度に引き続いて検討した。その結果、粒径40nmでDNA濃度が10μMの場合に最も良好な遺伝子配列応答が得られることが分かった。さらに、この条件最適化にともなって検出時間が数分程度にまで短縮され、実用化に充分に耐えうる分析法であることが実証された。
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Research Products
(5 results)