2003 Fiscal Year Annual Research Report
HIFUを用いた栄養血管閉塞による子宮筋腫の無侵襲治療装置の開発と臨床手技の確立
Project/Area Number |
15200042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
岡井 崇 昭和大学, 医学部, 教授 (40126016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 隆 昭和大学, 医学部, 助手 (20349111)
市塚 清健 昭和大学, 医学部, 助手 (00338451)
大槻 克文 昭和大学, 医学部, 助手 (90276527)
馬場 一憲 埼玉医科大学, 総合医療センター, 助教授 (30181035)
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Keywords | HIFU / ラット大腿動脈 / 超音波造影剤 / 栄養血管閉塞 / 子宮筋腫 |
Research Abstract |
1.本研究の準備段階において「スプリットフォーカス方式」のトランスデューサー(3MHz,4MHz 焦点距離10mm)を作成使用し、ラット大腿動脈を完全閉塞させることに成功した。(Fujiwara R, Sasaki K, Ishikawa T, Okai, T et al. Arterial blood flow occlusion by high intensity focused ultrasound and histologic evaluation of its effect on arteries and surrounding tissues. J Med Ultrasonics 2002;29(Autumn):85-90.) 2.臨床応用に近づけるため焦点距離35mmのHIFU照射用振動子に血管描写用カラードプラプローブを組み合わせ、血管を描写しつつHIFU照射が出来るプローブを作成した。これを用いてラット深部大腿動脈へのHIFU照射を行った。動脈血流速度のモニタリングを行うことで、HIFU照射による深部血管の閉塞のメカニズムを解明した。また焦点距離を深くしても周辺組織に影響を与えず、ラット大腿動脈を完全閉塞させることが可能であることを証明した。(Ishikawa T, Ichizuka K, Okai T, Sasaki K, Umemura S, et al. Functional and Histological Changes in Rat Femoral Arteries by HIFU Exposure. Ultrasound in Medicine and Biology 2003;29(10):1471-1477.)閉塞血管には空胞変性が組織学的に観察された他、アポトーシスが閉塞に関連していることも確認された。 3.HIFUによる人体への副作用をより軽減させる目的でHIFUの照射強度をより低下させたいとの考えから、超音波造影剤を用いてそれが可能か検討した。超音波造影剤であるmicrobubbleの投与より、より弱いHIFU照射強度によってラット大腿動脈の血流閉塞が可能であることが示され超音波造影剤の超音波増強効果が示された。 4.焦点距離5cmの大型プローブを用いたラビット腎臓動脈への体外からのHIFU照射によりfeeding arteryの閉塞によって、動脈支配領域の壊死を誘導することが観察されfeeding arteryを持つ腫瘍への応用可能性を確認した。 5.臨床応用のための準備的研究としては、ヒトに於いてmicrobubble投与と超音波間歇送信法による相対的組織血流量の測定を用い、子宮筋腫では筋腫核の血流が正常子宮筋層と比較して著しく低下していること及び、子宮筋腫へのfeeding arteryの数が少ないことを証明し、本研究での新考案である栄養血管閉塞による筋腫治療の有効性を示唆するデータを得た。 これらの研究結果を総合してみると、一般に血管は熱エネルギーを運び去るためHIFUによる焼灼が困難な組織とされていたがmicrobubble投与や至適超音波強度を用いることにより生体に利用可能な超音波強度での体外からの血流の遮断が可能であることが示された。
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