Research Abstract |
平成15年度は歩行支援ロボットの最終調整と頭部多チャンネル近赤外線スペクトメトリーの測定予備実験を行った.歩行支援ロボットは重度片麻痺患者の試用で,歩行姿勢の異常,立脚期後期に股関節伸展が不十分・膝関節過度屈曲位,両側股関節外転位,遊脚期のつま先接地の問題点が判明した.そこで,体幹支持部,股関節軸,大腿カフ,下腿スプリント部,足継手,歩行面の改造を行った.改造完成後,5名の重度片麻痺患者の歩行訓練を実施し,これらの問題点はほぼ解決したことを確認した.予備的歩行訓練結果より以下の基準を定めた.対象者は発症から2カ月以内の重度脳卒中片麻痺で歩行不能または介助歩行レベルであり,具体的にはStroke Impairment Assessment SetのKnee Extension testが0〜3とし,歩行を阻害する身体的併存疾患が無いこととした.訓練開始前は,片麻痺重症度(Stroke Impairment Assessment Set, Brunnstrom Stage),日常生活動作(FIM),関節可動域(股,膝,足),下肢痙性,筋力(StrengthErgoを用いた下肢トルク値),10m歩行時間を測定し,20分間,5回/週,3週間の歩行支援ロボット訓練を実施し,歩行訓練終了後も同様の測定を実施することにした.頭部多チャンネル近赤外線スペクトメトリーは2社の比較検討を行い,最終的に日立メディコ社製光トポグラフィーを選定した.光トポグラフィー測定のために,大脳位置決め用体幹・頭部固定装置,歩行中の光ファイバー保持具を作製し,健常者4名のMRIを撮影し,本装置付属システムを用いて3次元構成をして,上肢,下肢運動時の脳マッピングを行った.これらの予備的研究に基づき平成16年度以降に歩行支援ロボット訓練開始前と後の大脳賦活に関する実験を行う予定である.
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