2003 Fiscal Year Annual Research Report
運動による骨格筋の筋線維分化、および筋代謝機構におよぼす遺伝子発現の検討
Project/Area Number |
15200048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
芳賀 脩光 筑波大学, 体育科学系, 教授 (80093102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 秀樹 杏林大学, 医学部・衛生学公衆衛生学, 教授 (00133819)
武政 徹 筑波大学, 体育科学系, 講師 (50236501)
衣笠 隆 筑波大学, 体育科学系, 教授 (40110481)
勝村 俊仁 東京医科大学, 衛生学公衆衛生学, 教授 (80214352)
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Keywords | トレーニング / 筋線維タイプ / 筋代謝能 / カルシニューリン / ミオグロビン / 筋バイオプシー / mRNA / RT-PCR |
Research Abstract |
カルシニューリン(CaN)はカルシウム/カルモジュリンにより活性化される蛋白質脱リン酸化酵素である。そのターゲットとしては細胞質にあるNFATなどが知られており、それらのリン酸をはずすことによって、CaNとコンプレックスとなって核に移行し、MEF2やAP-1と一緒に転写活性の調節を行う役割を担う。これらの転写制御因子の下流にあるのが筋の遅筋化に関する蛋白質であり、ミオグロビンや遅筋タイプの収縮調節蛋白質の発現レベルを上げることが知られている。今回、中程度の運動がカルシニューリンカスケードに与える影響を調べるため、ヒトを対象として最大酸素摂取量の50%に相当する運動強度で1時間の自転車エルゴメーターを使った運動を行わせた。運動前と運動後4時間目の外側広筋バイオプシーサンプルからRNAを採取し、RT-PCR法により以下の分子のmRNAの発現レベルの解析を行った。その結果、c-fosはどの被験者でも上昇が見られたが、NFAT1-NFAT3はそれぞれの被験者でまちまちの反応性を示した。一方CaNやMEF2の発現レベルは変わらなかった。このことにより中程度の運動1時間でもCaNカスケードを惹起することが判明した。 そのほか、高地で暮らしているシェルパなどの適応現象にはHypoxia-Inducible factor 1-alfa等が関与していることも分かった。また、低圧・低酸素下においてスーパーオキサイドアニオンを生じせしめる好中球の増加が観察された。 さらに、筋の組織切片において、簡単に有酸素能力の高い遅筋線維を見分ける方法も見いだした。以上、運動による骨格筋の筋線維分化・筋代謝能変化に影響を及ぼす分子に関わる知見をもとにさらに研究を進めていく予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hitomi, Y., et al.: "Effect of moderate acute exercise on expression of mRNA involved in ttthe calcineurin signaling pathway in human skeletal muscle"IUBMB Life. 55. 409-413 (2003)
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[Publications] Suzuki, K., et al.: "Genetic variation in hypoxia-inducible factor 1-alpha and its possible association with high altitude adaptation in Sherpas"Med.Hypotheses. 61. 385-389 (2003)
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[Publications] Haga, S., et al.: "Cardiac output and stroke volume at anaerobic threshold during walking exercise in healthy aged subjects"Adv.Exerc.Sports Physiol.. 9. 37-43 (2003)
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[Publications] Hitomi, Y., et al.: "Intermittent hypobaric hypoxia increases the ability of neutrophils to generate superoxide anion in humans"Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.. 30. 659-664 (2003)
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[Publications] Ohno, H., et al.: "Extracellular superoxide dismutase and lifestyle related diseases (Review)"Curr.Top.Pharmacol.. 1. 1-15 (2004)
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[Publications] Takemasa, T., et al.: "Simple method for the identification of oxidative fibers in skeletal muscle"Eur.J.Appl.Physiol. 91. 357-359 (2004)
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[Publications] 芳賀脩光, 大野秀樹 編著: "トレーニング生理学"杏林書院. 375 (2003)