2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現プロファイリングを用いた土壌汚染評価系の確立に関する研究
Project/Area Number |
15201007
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
有薗 幸司 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (70128148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 弘美 熊本県立大学, 環境共生学部, 助教授 (30326491)
冨永 伸明 有明高等専門学校, 物質工学科, 教授 (30227631)
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Keywords | 線虫マイクロアレイ / 酵母マイクロアレイ / 金属影響 / 土壌汚染評価 / バイオアッセイ / カスタムチップ / メダカ |
Research Abstract |
土壌をはじめとした複合汚染の場合、誘導される遺伝子について化学物質のこれまでに確認されている特有の作用がどのように変化するのか情報を得る必要がある。今回、酵母や線虫のマイクロアレイを用いて、経験的に対処するデータベース化を目標とし、下水処理水、産業廃棄物最終処分場浸出水、各種工場排水、大学排水、或いは大気抽出成分などの環境試料への応用も試みた。 さらに環境水中の生態系への複合毒性についてメダカを用いて検討した。エストロゲン作用を持つ3種の化学物質(エストラジオール:E2、ビスフェノールA:BPA、オクチルフェノール:OP)の3種の混合毒性データーを積み重ねて比較検討した。ヒメダカ初期生活段階である胚及び仔魚を用いた複合毒性を行い、複合物質の中にE2が存在することで、E2と他化合物との複合作用が、胚に対するものと仔魚に対するもので全く異なる可能性が導き出された。さらに繁殖期にあるヒメダカ成魚を用いて、単独では繁殖に影響を及ぼさない濃度での複合曝露を行い、単独では繁殖に影響を及ぼさない濃度のE2,BPA及びOPも、複合することにより繁殖に影響するということも明らかとなった。次いで複合曝露による繁殖影響にERが関与していることを明らかとするため、抗エストロゲン剤として利用されている4-ヒドロキシタモキシフェン(HTx)を併用した複合繁殖試験を行った。HTxはERに直接作用してエストロゲン様物質に対してもアンタゴニスト作用を示し、外因性のエストロゲン様物質を阻害することが明らかとなった。このことより、エストロゲン活性を持つ化合物の複合曝露による繁殖影響にはエストロゲンレセプターが深く関与していることが示唆された。 又、水銀、カドミウムに特異的に応答する遺伝子を線虫cDNAマイクロアレイによって検索した結果、5時間後でも有意に発現が上昇あるいは減少する遺伝子が存在することが分かった。その中でも変動幅が多い遺伝子について特異的なプライマーを作成し、RT-PCRでも発現変動を確認した結果、数個の遺伝子は半定量的なRT-PCRでも発現変動が確認でき、金属レスポンス遺伝子であるメタロチオネインが誘導されるより、低濃度で変化が確認できたことから、今後、その機能についても解析する必要があるが、これら遺伝子は重金属汚染を確認するためのバイオマーカーの有力な候補遺伝子であると考えられた。
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Research Products
(19 results)