2003 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌撹乱物質のヒト胎盤ホルモン産生系への影響を考慮した内分泌撹乱作用の検討
Project/Area Number |
15201012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 慶一 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (90068247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 徳夫 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (60176352)
中西 剛 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (50303988)
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / 胎盤 / エストロジェン / ステロイドホルモン合成 / 発生毒性 / 種差 |
Research Abstract |
本研究では、ヒトと齧歯類の胎盤由来細胞を用いて内分泌撹乱物質としての疑いのある化学物質が、ヒトとラットの胎盤ホルモン産生系および代謝酵素系に与える影響について検討し、胎盤の内分泌機能のなかでも、発生毒性に重要な候補を絞りこむことで、それがin vivoにどのように反映されるかについて検討することを最終目標としている。ヒトとラットの絨毛細胞株を用いてin vitroにおけるステロイドホルモン合成・代謝系に対する影響を検討したところ、ラットおよびヒトの胎盤のP450sccに対しては、DESを始め、17βエストラジオール(E2)、エチニルエストラジオール(EE)において発現を上昇させることが明らかとなった。しかし3β-HSDについては、ヒトではDESで発現が上昇することが確認されたが、ラットでは特に影響が認められなかった。また、ラットおよびヒトにしか存在しないそれぞれの内分泌機能についても、各化学物質により影響が認められた。ヒトにおいては、E2、DES、EE、プロゲステロン(P4)によってアロマターゼの発現が顕著に上昇した。ヒト胎盤から産生される性腺刺激ホルモンであるヒト絨毛性ゴナドトロピンについてもアロマターゼの場合と同様の傾向が認められた。ラット胎盤から産生される性腺刺激ホルモンであるプロラクチン様蛋白(PLP)についても検討を行ったところ、E2やEEでは発現は胎盤性ラクトーゲンIIとPLP-A上昇するが、DESでは影響が認められなかった。さらにラット胎盤の3β-HSDについても、E2やEEでは発現は上昇するが、DESでは影響が認められなかったり、CYP17についてはE2やEEでは発現は上昇するが、DESでは逆に抑制傾向が認められるなど、エストロジェンレセプターを介した作用が予想されるエストロジェン様化学物質についても、同じ細胞に対して作用が異なることが確認された。
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