2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15201032
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
民谷 栄一 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (60179893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高村 禪 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (20290877)
中野 秀雄 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (00237348)
岸 裕幸 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (60186210)
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Keywords | バイオチップ / 遺伝子チップ / 細胞チップ / 一細胞解析 / 抗体 / ドラックスクリーニング / PCR / 半導体微細加工技術 |
Research Abstract |
申請者らは、シリコン基板を用いた微細加工によりナノリットルレベルの微量の内容積を有するチャンバーを多数配置したマイクロチャンバーアレイチップを作製し、これを用いた一分子および一細胞レベルでの遺伝子解析を可能とる測定を行った。具体的には、スライドガラスサイズのシリコン基板に650×650×200μm、容量約50nLのマイクロチャンバーを合計1248個集積化したマイクロチャンバーアレイチップを作製し、試薬の導入には、ナノリッターディスペンサーを使用して、非接触の分注法による試薬の導入を行った。この際、ミネラルオイルをチップ表面に塗布した後に分注操作を行うことによって、吐出された試薬がミネラルオイルを貫通してマイクロチャンバー内に沈降し、反応容器の上部のみがオイルによってカバーされることで、溶液の蒸発を防止した。この手法により、各チャンバーあたり40nLのPCR反応溶液を導入し、温度コントロールによってDNA増幅反応を行った結果、反応終了後の蛍光強度解析によってDNAの増幅を確認することができた。また、反応中のマイクロチャンバー間のクロストークや、分注操作によるコンタミネーションも検出されず、本手法の有用性が示された。次に、複数種同時PCR反応による遺伝子検査について検討を行った。腸管出血性大腸菌の5つの遺伝子をターゲットとし、15種類の異なるPCR反応を行った結果、それぞれの遺伝子増幅の有無を検出することができた。更に、本研究で使用したチップを用いて、PCR反応のエンドポイントでの蛍光強度解析による、初期DNA濃度の新規定量法について検討を行った。通常、初期DNA量を定量するためには、PCR反応中のリアルタイム蛍光検出による解析が必要である。しかし本研究では、PCR反応後に蛍光強度解析を行い、チャンバーのバックグラウンド蛍光強度に比較して、DNA増幅によって蛍光強度が増加したチャンバー数から初期DNA濃度を定量することができた。これは、リアルタイムで蛍光強度を測定する機器を必要とせず、新規定量法として非常に期待できる技術であると示唆された。次に、1細胞からの遺伝子解析を行うため、ヒト白血病細胞Tリンパ腫のJurkat細胞をナノリッターディスペンサーによって、1つのマイクロチャンバーにつき1細胞が導入されるように分注することで細胞を単離し、1細胞からRT-PCR反応による遺伝子増幅とその検出を試みた。まず、ナノリッターディスペンサーによってJurkat細胞を単離し、導入した細胞懸濁液が乾燥した後にミネラルオイルでチップ表面をカバーし、非イオン性面活性剤を含むRT-PCR反応溶液を導入して反応を行った結果、蛍光強度解析によって細胞が導入されたチャンバーにおいて蛍光強度が増加していることから、1細胞に含まれるmRNAをテンプレートとして遺伝子増幅が行われたことが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)