2005 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化ナノホールによる量子ドット多重トンネル接合形成とスピントロニクス応用
Project/Area Number |
15201034
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
新宮原 正三 関西大学, 工学部, 教授 (10231367)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩渕 修一 奈良女子大学, 理学部, 教授 (40294277)
若家 富士男 大阪大学, 極限科学研究センター, 助教授 (60240454)
|
Keywords | スピントロニクス / ナノホール / ナノ磁性体 / ポーラスアルミナ / トンネル接合 / 強磁性 / エピタキシャル成長 |
Research Abstract |
本研究ではナノメーターサイズのスピントロニクス素子を形成するために、自己組織化法であるアルミニウム陽極酸化ナノホール配列を利用した新規なトンネル接合素子の形成、単一電子効果、多重トンネル接合での電子輸送特性の解析・評価などを通して、新規なスピントロニクス素子の実現への道を切り拓くことを目的とする。本年度においては、トンネル磁気抵抗素子のスイッチング特性を高精度にコントロールするため、磁性量子ドットの結晶性の向上および磁気異方性の制御を試みた。そのため、ポーラスアルミナ・ナノホール配列を単結晶シリコン基板上に形成し、ナノホールの底部のアモルファスアルミナ層を除去してホール底部にシリコン基板を露出させ、ホール底部からの磁性体ナノドットのヘテロエピタキシャル成長を試みた。様々な検討の結果、鉄シリサイド及び銅のエピタキシャル成長に成功した。 また、磁性単電子トランジスタの形成に必要不可欠なトンネルバリア膜に関して、ナノホール隔壁膜(アルミナ)の電子輸送特性に関して、陽極酸化後の熱処理温度依存性、膜厚依存性などの基礎特性を評価した。その結果、陽極酸化直後のアルミナ隔壁膜はリーク電流が多く、熱処理温度500-700℃ではリーク電流の低減はあるものの欠陥準位を介したプール・フレンケル伝導が主体であることがわかった。良好なトンネル特性を得るためには、絶縁膜中の欠陥の低減が必要であり、さらなる高温熱処理あるいは酸素ラジカル照射などを検討すべきと考えられる。 また理論面からは、TMR比の増大に対する信頼性の高い理論を得るべく,クーロン・ブロッケイド制御のための基本構造である強磁性量子ドット(C-SET構造)に対し,高次のコトンネリングを考慮したトンネル電流およびトンネルコンダクタンスの解析的な表式を場の理論に基づく経路積分法により求めた。また,実験的には接合での透過率はさまざまな大きさとなることから,トンネルモードから純粋接合まで系統的に記述しうるよう非平衡グリーン関数法を用いて上記理論の拡張を行った。今後,これらの理論に基づいた詳細な解析を行うことで,TMR比の増大に対する最適化の条件を詰めることが可能と考える。
|
Research Products
(3 results)