2005 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポゾンを用いた遺伝子トラップ法による脊椎動物初期発生遺伝子の網羅的研究
Project/Area Number |
15201041
|
Research Institution | National Institute of Genetics. |
Principal Investigator |
川上 浩一 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助教授 (70195048)
|
Keywords | ゼブラフィッシュ / 遺伝子トラップ / エンハンサートラップ / インサーショナルミュータジェネシス / トランスポゾン / トランスジェニックフィッシュ / 器官形成 / wntシグナル |
Research Abstract |
(1)トランスポゾンにhsp70プロモーターとGFP遺伝子を組み込んだベクターを構築し、エンハンサートラップ法を確立した。エンハンサートラップベクターはゼブラフィッシュゲノムに挿入されると、挿入部位近傍のエンハンサーによりhsp70プロモーターが活性化され、GFPを組織特異的・器官特異的に発現するゼブラフィッシュが非常に効率よく得られる。 (2)トランスポゾンにhsp70プロモーターと酵母転写因子Gal4を組み込んだGal4エンハンサートラップベクターを構築し、ゲノムにランダムに挿入させた。これらGal4系統をGal4結合配列であるUASの下流にGFPをもつUAS-GFPリポータートランスジェニックフィッシュとかけあわせ、GFPが組織特異的・器官特異的に発現されるゼブラフィッシュを効率よく得ることができた。 (3)トランスポゾンを用いた遺伝子トラップ法、エンハンサートラップ法、Gal4エンハンサートラップ法を実施し、GFPあるいはGal4を組織特異的・器官特異的に発現するゼブラフィッシュ200系統を樹立した。 (4)これらトラップ系統中のトランスポゾン挿入をインバースPCR法などで解析し、100系統についてトランスポゾン挿入部位の塩基配列を決定した。 (5)エンハンサートラップベクター挿入の1つは、Wntシグナル伝達経路の転写因子Tcf7をコードする遺伝子を破壊していた。エンハンサートラップベクター挿入のホモ2倍体を作製したところ、ヒレの形態形成に異常がみられた。この結果からエンハンサートラップ法が器官形成に重要な遺伝子を同定するために有用な方法であることが示された。 (6)遺伝子トラップベクター挿入の1つは、核孔を構成する蛋白質の1つNup214をコードする遺伝子を破壊していた。この挿入のホモ2倍体胚は、頭部と目の発生に異常を示し、胚致死となった。
|
Research Products
(2 results)
-
-
[Journal Article] The zebrafish pob gene encodes a novel protein required for survival of red cone photoreceptor cells2005
Author(s)
Taylor, M.R., Kikkawa, S., Diez-Juan, A., Ramamurthy, V., Kawakami, K., Carmeliet, P., Brockerhoff, S.E.
-
Journal Title
Genetics 170
Pages: 263-273