2003 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度、高確度かつ定量的プロテオーム構造解析装置の開発
Project/Area Number |
15201043
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
乗岡 茂巳 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (70198638)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 隆 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (30175492)
岡村 高明 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90252569)
上山 憲一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80093376)
綱沢 進 島津製作所, 分析計測事業部, 部長
小田 和明 北海道医療大学, 薬学部, 助教授 (80094829)
|
Keywords | プロテオミクス / プロテオーム解析 / アミノ酸配列決定 / 質量分析計 / de novo sequencing / オキサゾロン |
Research Abstract |
MSを用いて発現タンパク質の確実な同定を行うために、そのN末端アミノ酸配列解析を行う方法を確立することを目的として、タンパク質N末端フラグメントを選択的に回収し、CAF法によりN末端フラグメントの配列解析を行う方法を開発した。タンパク質変性下で還元アルキル化とリジンアミノ基のブロックを行った後、N末端アミノ基に負電荷を有するAffinity Tagを付加した。これをTrypsin消化した後、N末端ペプチドを選択的に単離してMALDI-PSD-MSによりアミノ酸配列を解析した。これまでにいくつかの標準タンパク質において、そのN末端ペプチドを単離してアミノ酸配列を決定することができた。本方法は、多検体のハイスループットなN末端酸配列解析に有効であると期待される。次に、ペプチドのC末端のカルボキシル基をオキサゾロンに変換し、これに正または負電荷を持つ化合物をカップリングさせることにより、MALDI-MSにおいて感度を著しく向上させる方法を開発した。ペプチドと無水酢酸との反応によりオキサゾロン環を形成後、側鎖にグアニジノ基をもつアルギニンメチルエステル(Arg-OMe)を作用させた。この方法をロイシンエンケファリンに適用したところ、生成したAc-Tyr-Gly-Gly-Phe-Leu-Arg-OMeは、Argを含まないペプチドに比べて、MALDI-MSで50倍以上の高感度で検出された。オキサゾロンはペプチドのC末端のカルボキシル基のみに特異的に生じ、無水酢酸とペプチドの反応時に求核性官能基も大部分アセチル化によって保護されるために、ペプチドをあらかじめ化学的処理しておく必要はない。Ac-Tyr-Gly-Gly-Phe-Leu-Arg-OMeのピーク(m/z 768)のMALDI-PSD分析においては、b系列、z系列のプロダクトイオンが優位に検出され、予想されるすべてのz系列イオンの観測により、元のアミノ酸配列が確認できた。
|