2003 Fiscal Year Annual Research Report
変容する戦後東アジアの時空間--戦後/冷戦後の文化と社会
Project/Area Number |
15201054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中野 敏男 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (10198161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山之内 靖 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (60014429)
大川 正彦 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (80323731)
岩崎 稔 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10201948)
徐 京植 東京経済大学, 現代法学部, 助教授 (50328259)
李 孝徳 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 専任講師 (90292721)
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Keywords | 戦後東アジア / 植民地主義 / 朝鮮戦争 / 占領 / ジェンダー / 引揚げ / 帰還 / 在日朝鮮人 |
Research Abstract |
今年度の研究活動は、国内での2つの国際シンポジウムの準備と開催、そして国外で行われた2つの国際会議への派遣を中心に遂行された。まず、2003年9月13日に東京外国語大学で、「朝鮮戦争という<経験>」をテーマとするシンポジウムを開催した。ここでは、林哲「戦後東アジアの冷戦と『朝鮮』・『朝鮮人』」、崔徳孝「戦時動員と在日朝鮮人」、鄭栄桓「朝鮮戦争下における在日朝鮮人運動の<経験>」その他の報告がなされ、戦後東アジアの構造を規定した朝鮮戦争という<経験>を特に人の移動という観点から集中的に討議した。つぎに、2004年1月10-11日に同じく東京外国語大学で、「東アジアの戦後を問う--植民地主義の再編と継続する暴力」をテーマとするシンポジウムを開催した。ここでは、第一日目に、荒敬「GHQの東アジア占領戦略」、屋嘉比収「顕現する国境」、宮城公子「暴力表象の遅延--沖縄『戦後文学』とジェンダー問題」、板垣竜太「植民地支配責任の再定立に向けて」という四つの報告がなされ、「『戦後』を構成する暴力」を焦点にして討議が組織された。また第二日日には、金富子「植民地期・解放直後の朝鮮における公娼認識」、尹京順「『基地村』問題の成立と展開」、成田龍一「『引き揚げ』体験とジェンダー」、高和政「密航・民族・ジェンダー--在日朝鮮人文学に見る《人流》」という四つの報告がなされて、「植民地主義の継続とジェンダー」を軸に討議された。また、派遣事業では、2003年10月23-26日に韓国ソウルの漢陽大学で行われた「Coercion and Consent : A Comparative Study of Mass Dictatorship」を主題とする国際会議に中野敏男・篠原琢・酒井直樹を派遣し、それぞれ報告を行わせた。また10月31日にアメリカ・ニューヨークのコロンビア大学で行われた「戦後占領」を主題とする国際会議に岩崎稔、成田龍一、戸邉秀明、崔徳孝を派遣して報告させた。
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Research Products
(20 results)
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[Publications] 山之内靖: "「再魔術化」する世界をめぐって"富永健一、徳安彰編著『パーソンズ・ルネッサンスへの招待』. 125-138 (2004)
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[Publications] 丸川哲史: "台湾文学の言語とアイデンティティー-呉濁流再読"アジア新世紀. 第6巻. 165-178 (2003)
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[Publications] 丸川哲史: "<帝国>の内?中国の<外>?-賈樟柯『青の稲妻(任逍遥)』から見えてくるもの-"現代思想. 31・8. 266-274 (2003)
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[Publications] 大川正彦: "<不正義の経験>論のほうへ"社会思想史学会編『社会思想史研究--社会思想史学会年報』. 27. 97-105 (2003)
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[Publications] 千田有紀: "帝国主義とジェンダー『資料 ウーマンリブ史を読む』"加納美紀代編『リブという<革命>』. 57-69 (2003)
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[Publications] 千田有紀: "家族規範の成立と変容"土屋葉編『これからの家族関係学』. 25-48 (2003)
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[Publications] 駒込武: "植民地支配における神社参拝"水野直樹編『生活の中の植民地主義』. 103-129 (2003)
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[Publications] 駒込武: "植民地支配と近代教育-ある台湾人知識人の足跡"教育思想史学会『近代教育フォーラム』. 第12号. 83-96 (2003)
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[Publications] 板垣竜太: "「新旧」の間で:日記からみた1930年代農村青年の消費行動と社会認識"『韓国朝鮮の文化と社会』. 2号. 113-142 (2003)
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[Publications] 板垣竜太: "植民地の'憂鬱':一農村青年の日記を通じてみた植民地近代"林志弦・李成市編『国史の神話を越えて』. 299-326 (2004)
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[Publications] 杉原 達: "帝国との向き合いかた--中国人強制連行研究を通じて--"歴史学研究. 54-64 (2003)
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[Publications] 杉原 達: "記憶のゆくえ"川村邦光編『戦死者のゆくえ』. 252-258 (2003)
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[Publications] 李 孝徳: "レイアウトとディアスポラ:カレイスキー画家ニコライ・シンのレクイエム"季刊デザイン. 第5号. 56-57 (2003)
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[Publications] 河かおる: "朝鮮金融組合婦人会について-植民地下農村女性史への手がかりとして"日朝関係史論集-姜徳相先生古稀・退職記念. (2003)
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[Publications] 戸邉秀明: "ポストコロニアリズムのインパクトと可能性:日本植民地研究とのかかわりで"日本植民地研究. 15. 67-75 (2003)
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[Publications] 戸邉秀明: "<戦場後/占領下>社会と複数の「沖縄人」"同時代史学会News Letter. 3号. 8-11 (2003)
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[Publications] 徐 京植: "秤にかけてはならない--日朝問題を考える座標軸"影書房. 271 (2003)
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[Publications] 山之内 靖: "再魔術化する世界--総力戦・<帝国>・グローバリゼーション"お茶の水書房. 385 (2004)
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[Publications] 大川正彦ほか: "親密圏のポリティクス"ナカニシヤ出版. 246 (2003)
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[Publications] 板垣竜太ほか: "世界のプライバシー権運動と監視社会"明石書店. 317 (2003)