2004 Fiscal Year Annual Research Report
美術品・文化財等の科学解析による美術史学の精確化と包括的帰一に関する研究
Project/Area Number |
15202004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西野 嘉章 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (20172679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諏訪 元 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (50206596)
吉田 邦夫 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (10272527)
丑野 毅 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (80143329)
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Keywords | 文化財科学 / 年代測定 / 美術史 / 放射性炭素 / 物性研究 / フランス / 文化コミュニケーション省 / 日仏協力 |
Research Abstract |
本年度は交付申請書の計画通り、西野、丑野、吉田の三名がフランスに赴き、文化コミュニケーション省傘下にあるプロヴァンス・アルプ・コートダジュール地域圏文化事業局において、昨年度調査結果の報告を行うと同時に、その調査結果について現地協力者を交えて、討議を行った。また、現地協力者とともに、マルセイユの超地域圏文化財保存研究センターを訪問・見学し、フランスにおける文化財科学の現状について意見交換並びに調査を行った。 一週間にわたる現地調査によって、アヴィニヨン教皇宮殿内にある修復工房で修復途上にある15-16世紀の板絵祭壇、エクスのサン・ソヴール教会堂にある「燃える柴の祭壇画」から、木質、金箔、麻布など約100サンプルを採取し、それらについて帰国後、データの解析を行った。なお、今年度内に、この日仏共同調査について、東京大学と仏国文化コミュニケーション省とのあいだに、三年間の学術協力を謳った協同合意書が取り交わされることになっている。 国内では、デジタル・マイクロスコープによる西洋古紙のテキスチャーのデータベース作成を行った。サンプルは15-18世紀の版画ならびに刊本から採られ、総数にして100点前後の高精細画像(x175、x100、x50)を取得し、併せて試料についての記載を行った。このパイロット調査結果から、紙の繊維、表情の同定のために、拡大率のアップが不可欠であるとの感触が得られ、今後の検討課題となった。また、ダゲレオタイプをはじめとする古写真類について、どのような科学解析調査が可能か、パイロット調査を行った。 年度末、西野がミラノのアカデミア・ブレラ他で、学術文化財の科学調査と利活用に関する数回の講演を行う。
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Research Products
(4 results)