2005 Fiscal Year Annual Research Report
美術品・文化財等の科学解析による美術史学の精確化と包括的帰一に関する研究
Project/Area Number |
15202004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西野 嘉章 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (20172679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諏訪 元 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (50206596)
吉田 邦夫 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (10272527)
丑野 毅 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (80143329)
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Keywords | 文化財科学 / 年代測定 / 美術史 / 放射性炭素 / 物性研究 / フランス / 文化コミュニケーション省 / 日仏協力 |
Research Abstract |
当初の計画通り、西野、吉田、修復家菊池(研究協力者)の三名がフランスに赴き、文化コミュニケーション省傘下にあるプロヴァンス・アルプ・コートダジュール地域圏文化事業局において、前年度現地調査の結果報告を行うと同時に、現地協力者を交えて、討議を行った。また、マルセイユの超地域圏文化財保存研究センターにおける文化財保存科学シンポジウムに参加し、文化財科学の先端研究について意見交換を行った。現地滞在中の9月29日、『燃える柴の三連祭壇画』修復事業学術委員会が開催され、本研究グループの提出した科学解析データを基に、今後の修復方針、事業プログラムについての話し合いを行った。本研究グループは、東京大学の名前でフランス国文化コミュニケーション省と、2005年10月10日付けで向こう三年間にわたる共同研究協約書を取り交わし、今後も引き続き同省傘下にある地域圏歴史記念局から、その管理下にある美術品・文化財の被検資料の提供を受けることになっている。 一週間にわたる現地調査では、上記の『祭壇画』、アヴィニヨン教皇宮殿内にある修復工房で修復途上にある16世紀初頭の板絵について、木質、金箔、金属、ワニスなどのサンプルを採取するとともに、デジタル一眼レフカメラ、赤外線フィルター、ハロゲンランプによる赤外線デジタル画像データの取得を行い、絵画の下絵について新たな知見を得ることができた。採取したサンプルにはついては、放射性炭素年代測定法による年代決定、蛍光エックス線による組成分析、色温度測定による顔料同定などを行い、測定結果の検証を行っている。また、レプリカ法について、研究手法の安定的な運用の方法についての検証を行うため、国内でイタリアの古代美術品からサンプルを採取し、研究を進めている。
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Research Products
(6 results)