2006 Fiscal Year Annual Research Report
美術品・文化財等の科学解析による美術史学の精確化と包括的帰一に関する研究
Project/Area Number |
15202004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西野 嘉章 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (20172679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諏訪 元 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (50206596)
吉田 邦夫 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (10272527)
丑野 毅 東京国際大学, 人間社会学部, 教授 (80143329)
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Keywords | 文化財科学 / 年代測定 / 美術史 / 放射性炭素 / 物性研究 |
Research Abstract |
研究最終年度に当たる本年は、西野、丑野、吉田のほか、研究協力者の菊池敏正、藤尾直史の都合5名が現地に赴き、文化コミュニケーション省傘下にあるプロヴァンス・アルプ・コートダジュール地域圏文化事業局の担当者ブイエに対し、昨年度調査結果の報告を行うと同時に、その調査結果について現地協力者を交えて、討議を行った。また、現地協力者とともに、マルセイユの超地域圏文化財保存研究センターを訪問し、フランスにおける文化財科学の現状と、2007年夏から始まる『四聖人像』(サン=マクシマン大聖堂、15世紀後半)の修復予備調査計画について意見交換を行った。『燃える柴の祭壇画』については、中央パネルのワニス洗浄がほぼ終了の段階に至っていたことから、あらたに写真撮影を行うとともに、昨年度取り残した部分について、赤外線デジタル写真撮影を行った。また、祭壇内装部画面に使用されている緑・青の顔料について、色度計測データを取得した。『燃える柴の祭壇画』の3枚のパネルについて、改めて精細な採寸を行うとともに、額縁部分の創り型の形状データを取得した。中央パネルの裏面の削痕で特徴的な箇所について、シリコン樹脂のレプリカを採取した。サン=ソヴール大聖堂聖具室にある『聖ミトル伝祭壇画』を、フランス側研究協力者の立ち会いのもと、気密ケースから出し、写真撮影、顔料サンプル採取、色度計測、採寸の調査を行った。帰国後、サンプルの解析、各種図面作成、写真整理を行ったのち、c-14年代測定、レプリカ法、色度計測法、蛍光X線分析、赤外線解析法など、美術史学と統合すべき科学解析の限界と可能性を纏めた論考を纏め、研究成果報告書を出版した。
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Research Products
(6 results)