2006 Fiscal Year Annual Research Report
人間言語の本質的特性に関する理論言語学・機能言語学・言語脳科学による統合的研究
Project/Area Number |
15202011
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
保阪 泰人 首都大学東京, 東京オープンユニバーシティ, 助教授 (30199468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 平三 学習院大学, 文学部, 教授 (10086168)
高見 健一 学習院大学, 文学部, 教授 (70154903)
萩原 裕子 首都大学東京, 都市教養学部人文・社会系, 助教授 (20172835)
本間 猛 首都大学東京, 基礎教育センター, 助教授 (30241045)
小川 定義 首都大学東京, 東京オープンユニバーシティ, 助教授 (40268967)
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Keywords | 言語学 / 認知科学 / 脳・神経 / 言語・脳科学 / ERP実験 / 転位 / 生成文法 / 機能範疇 |
Research Abstract |
理論言語部門では,保阪は、コントロール違反ではない不定句補文の受動化現象を考察した。小川は非均衡仮説に基づく残余移動(Remnant Movement, RM)を援用した極小主義的アプローチにより、特に中世フランス語の命名構文、V2現象、述語倒置コピュラ文の統語派生を扱った。中島は、単文と複文の対比、複文における転移の有無などについて、fMRI(機能磁気共鳴画像方)とERP(事象関連電位)の実験結果の理論的考察を行った。長谷川は、極小プログラムの枠組みにおけるSwipingの分析をすすめた。本間は最適性理論などの最近の音韻理論の研究を行い,周辺的音韻現象(新語の形成など)の音韻論的側面の研究を行った。機能言語部門では、高見は,非対格動詞の主語が目的語位置から主語位置に移動するとされてきた日英語の諸構文を考察し、それぞれの構文には意味的、機能的要因が関与していることを『非対格性仮説と日英語の諸構文』で明らかにした。岡本は、ドイツ語の主格限定詞句と過去分詞の前置現象を「事象の話題化」というメカニズムでより広いデータを説明できる可能性に取り組んだ。石野はフランス語の意味・機能の問題を取り上げ,言語資料収集およびその分析を行った。言語脳科学(ERP実験)班では、萩原が、128チャンネル脳波装置を用いて、各種転位文処理のERP実験および、格助詞の役割を探るプライミング実験を行った。三項動詞文の実験では、動詞句内かきまぜ文(ガーヲーニ)が標準語順文(ガーニーヲ)に比べて、動詞の出現時に統合を表す陽性成分が観察された。これは、転位要素が構造へ統合する位置が構文によって異なることを示唆しており、従来の統語解析理論への再考を促すものとして注目される。また今年度は、研究成果を発表するための公開シンポジウムを平成18年9月8日に開催した。栗城眞也氏をはじめ,脳科学者と言語学者の出会いの場を用意できたのもこの研究助成の成果である。
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Research Products
(29 results)