2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15202019
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
吉良 芳恵 日本女子大学, 文学部, 助教授 (80318584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井川 克彦 日本女子大学, 文学部, 教授 (50243803)
久保田 博子 社団法人中国研究所, 監事(研究職)
久保田 文次 日本女子大学, 文学部, 教授 (20060650)
斎藤 聖二 茨城キリスト教大学, 文学部, 教授 (10306102)
櫻井 良樹 麗澤大学, 外国語学部, 教授 (90211268)
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Keywords | 宇都宮太郎 / 上原勇作 / 田中義一 / 参謀本部 / 2個師団増設問題 / 大正政変 / 朝鮮軍司令官 / 3・1独立運動 |
Research Abstract |
1、書翰半分の整理を終了し、資料保存と解読のためマイクロフィルムで撮影、複製化した。この過程で、宇都宮太郎にあてた陸軍中央の軍人からの書翰が数多く発見された。中でも、既刊『上原勇作関係文書』中にある上原勇作宛宇都宮書翰に対応する宇都宮宛上原書翰が約100通ほど発見され、さらに3・1独立運動期の田中義一陸軍大臣書翰など、従来の研究を画期的に進展させる資料が見つかった。来年度は、残りの書翰の整理と撮影、複製化にとりかかる予定であり、すでに整理した書類や日記と照合すれば宇都宮太郎の歴史的位置づけがより明らかになると思われる。 2 宇都宮太郎日記の明治43、45年、大正3、5年の翻刻作業とパソコンへの入力を終了した。これら日記の分析により、2個師団増設問題から大正政変期にかけての新しい視点などが提示された。 3 参謀本部第2部長時代に宇都宮が視察した(中国)北京、秦皇島、山海関、天津、大連、旅順で、旧日本軍営や塘沽砲台、金州城などを宇都宮日記と照合しながら実地調査した。また北京の社会科学院近代史研究所では所蔵資料や文書を調査し、楊天石氏等と研究討論会を行った。 4 駐英公使館付武官時代(明治34年〜38年)の宇都宮のイギリス陸軍軍制改革案の調査やHaldane文書の調査等を行った。 5 外交省外交資料館所蔵の「在外武官報告」、国立国会図書館所蔵の「寺内正毅関係文書」「斎藤実関係文書」中の関係資料、徳富蘇峰記念館所蔵の宇都宮太郎書翰を調査し、マイクロフィルムで収集した。 6 国際シンポジウム「宇都宮太郎関係資料から見た近代日本と東アジア」を2005年2月26日に日本女子大学で開催し(後援:東アジア近代史学会・日本アーカイブズ学会)、これまでの資料整理をふまえて、資料が有する歴史的価値を初めて広く学会に紹介、注目を集めた。報告者および報告内容は、(1)久保田文次(宇都宮徳馬先生と宇都宮太郎大将)、(2)吉良芳恵(宇都宮太郎関係資料の概要)、(3)斎藤聖二(軍人としての宇都宮太郎-経歴とその特色)、(4)孔祥吉(義和団時期の張之洞の帝王思想-宇都宮太郎日記を手がかりとして)、(5)大山瑞代(ロンドン駐在武官時代の宇都宮太郎)、(6)櫻井良樹(明治末期の内外政治と宇都宮太郎-辛亥革命と大正政変)、(7)吉良芳恵(朝鮮軍司令官宇都宮太郎と3・1独立運動)で、野村乙二朗、中村義、セバスチャン・ドブソン、季武嘉也、宮本正明がコメンテーターをつとめた。
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