Research Abstract |
平成17年度は,16年度に終了した8地裁・簡裁における記録調査のデータについて,すでに16年度になされた基礎的なデータ整理に基づき,さらなる分析(第一次・第二次)を進め,同時に,分析途中で判明したデータのバグについて修正を行なった。 具体的には,まず,5月の民事訴訟法学会大会の折に開催された全体会議において,各地区の分析担当者が各地域のデータを分析し,当該地域における手続全般の傾向や前期調査との比較などの第一次分析を行なった。同時に,東京地裁でのデータに関してはサンプリングの偏りが発見されたので,それを補うべく補充調査が行なわれた。これらのデータに基づき,第二段階として,全体会議において指摘された問題点等を踏まえて,全地域のデータを手続項目ごとに横断的に分析する第二次分析を開始した。後期調査における分析項目は,前期調査との比較をできる限り可能としながら,法改正によって新規に採用された制度を加えて調整したものであり,具体的には次のとおりである。 (1)訴状・答弁書および送達関係等;併合事件の処理,(2)争点整理(1):期日関係,書面提出関係,(3)争点整理(2):弁論準備手続の実施状況,(4)証拠調べ(1):証人尋問,当事者尋問,(5)証拠調べ(2):書証・陳述書関係,その他の証拠調べ,(6)和解関係,(7)判決及び執行文付与,(8)弁論期日関係,付調停,裁判官・書記官の交代,その他。 これらの手続項目について各分析担当者がデータ分析を行い,これを9月の合宿(於・北海学園大学)において集中的に報告・検討した。この合宿には分析担当者と事務局がほぼ全員参加し,ハードスケジュールであるにもかかわらず終始活発な議論が交わされた。分析については,データ解釈の再検討,分析項目の変更・追加,他の分析項目との関係性の検討がなされ,技術的な問題としては,データのバグ修正や裁判所での再調査の必要性も検討された。また,今後の研究計画についても再検討がなされた。 合宿後は,各分析担当者によって第二次分析の深化が図られ,また分析担当者会議によって議論もなされた。同時に,再調査の必要性が指摘された事件について,各地裁における再調査を実施し,正確なデータに基づく最終的な分析の仕上げに取り掛かっている。
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