2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15203014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田渕 隆俊 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70133014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 洋 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30158414)
井堀 利宏 東京大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40145652)
八田 達夫 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (70008647)
柴田 弘文 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋マネジメント学部, 客員教授 (80112001)
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Keywords | リスク管理 / 国際公共財 / 集権化 / 分権化 / 経済厚生 / 多国間調整 / 所得移転 / 政策対応 |
Research Abstract |
平成15年度から3年間の研究期間の総まとめとして、平成17年度では、本研究で考察した集権化と分権化社会の理論的、実証的な成果を整理するとともに、もう1つの大きな研究課題である、内生的に発生するリスクを適切に管理する政策のあり方についても、マクロの財政金融政策、社会保障制度改革、地方分権下での地域経済への対応政策などを中心として、理論的、実証的に分析を進めた。そして、各国の地域経済政策、再分配政策、社会保障制度の現状について、主として、利害関係者間での再分配制度の評価という視点から、国際的に調査と研究も行った。同時に、政治経済学の成果を利用して、集権化と分権化社会における意思決定のあり方を理論的に整理して、リスク管理のあるべきシステムを考察した。とくに平成17年度では、日米欧間の国際的な相互依存関係を中心として、リスク管理のための多国間調整メカニズムのあるべき姿の政策分析を行った。より具体的には、経済統合に際して、防衛費、援助費、地球温暖化対策支出などの国際公共財の分担や政策、制度の調整についてこれまでの実証的な研究結果を整理するとともに、本研究の理論的枠組みから得られる政策提言の分析結果をまとめた。 本研究における1つの重要な政策的含意は、地球温暖化対策などの国際公共財供給における受益と負担の関係について、これまでの標準的な予想とは異なる結果を得たことにある。すなわち、途上国に所得移転をすることで途上国の国際公共財供給を促進させようとしても、その分だけ先進国の負の所得効果によって先進国での国際公共財供給が停滞すれば、世界全体の経済厚生にプラスにならない可能性が示された。また、リスク管理のあり方として、リスク自体を軽減する対応とリスクの発生する際のコストを軽減する対応では、長期的に異なる結果になることが示された。
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Research Products
(7 results)