2006 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物をめぐる人間行動と制度-環境問題解決の数理・計量社会学-
Project/Area Number |
15203021
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海野 道郎 東北大学, 大学院文学研究科, 教授 (90016676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 計二 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (00198714)
小松 洋 松山大学, 人文学部, 教授 (60241501)
土場 学 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 助教授 (50253521)
阿部 晃士 岩手県立大学, 総合政策学部, 助教授 (50305314)
篠木 幹子 岩手県立大学, 総合政策学部, 専任講師 (20398332)
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Keywords | 社会的ジレンマ / ごみ分別制度 / 計量分析 / 規範 / コスト / 廃棄物 / 社会調査 / 意識と行動 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に仙台市、名古屋市、水俣市の3都市で実施した「家庭廃棄物(ごみ)に対する住民の意識と行動に関する調査」のデータ分析を行い、社会的ジレンマ状況として捉えられるごみ問題の制度と人間行動の関係を詳細に検討すると同時に、2006年9月に岩手県釜石市で、「家庭廃棄物(ごみ)に対する住民の意識と行動に関する調査」を行った。この調査の実施によって、(1)ごみの分別数に関する制度上の多少と、(2)都市規模の大小の2軸を満たすすべての都市の調査データを揃えることができた(大都市・少分別:仙台市、大都市・多分別:名古屋市、小都市・少分別:釜石市、小都市・多分別:水俣市)。これら4都市における比較研究を通じて、制度による違いが個人に対して与える影響と、制度を超えて人間に共通の普遍的な行動メカニズムを析出することが可能となった。 本研究の成果は以下のようなことである。(1)社会的ジレンマに関する理論的考察を行い、これまで、社会的ジレンマ状況を定義してきたのは、観察者(研究者)の視点であったが、行為者自身がどのように状況を解釈しているのかを検討した結果、多くの行為者は状況を社会的ジレンマとして捉えていない、ということが明らかになった。(2)社会的ジレンマ状況を解決するための要因として、「公共的規範」が、どの都市においても共通に重要であることが明らかになった。(3)都市のごみ分別制度の種類によって、ごみの分別に伴うコストの感じ方や市のごみ分別に対する取り組みなどの評価は異なることが明らかになった。
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Research Products
(9 results)