2003 Fiscal Year Annual Research Report
障害者の入所施設から地域の住まいへの移行に関する研究
Project/Area Number |
15203024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
河東田 博 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (80258318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新保 穏子 立教女学院短期大学, 幼児教育学科, 助教授 (50270012)
浅井 春夫 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (30231864)
赤塚 光子 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (10318686)
遠藤 美貴 香川県明善短期大学, 生活学科, 講師
孫 良 大阪人間科学大学, 人間科学部, 講師 (90299355)
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Keywords | コロニー雲仙 / 船形コロニー / 国立のぞみの園 / 知的障害 / 入所施設 / 地域移行 / 地域生活 / 地域生活支援システム |
Research Abstract |
本研究は、入所施設から地域の住まいへの移行をどうしたらスムーズに行うことができるのか、また、移行後の地域生活をどう支援していったらよいのかを検討する目的で行われた。目的達成のため、2003年8月から2004年2月にかけ、オランダ・ユトレヒト、オーストラリア・ブリスベン、日本・宮城(船形コロニー)・群馬(国立のぞみの園)・長崎(コロニー雲仙)で、実態調査が行われた。日本では、地域移行に関する職員の意識調査も同時に行われた。現在各種調査の分析が行われているところである。本報告では、日本で行われた3施設での調査結果に焦点をしぼり、その概要を記す。 調査対象となった日本の3施設には相互関連が見られていた。すなわち、コロニー雲仙の大幅な地域移行のあり方を学んだ船形コロニーが2011年までに同コロニーを解体することを宣言、この2施設や海外の施設解体の動向さらには国立コロニーを取り巻く状況の変化を踏まえ厚生労働省が国立コロニー独立法人化検討委員会の報告を受ける形で大幅な地域移行を決断したというものであった。地域移行は、コロニー雲仙が最も進んでおり、次に船形コロニー、国立のぞみの園ではやっと施設内自活訓練事業が始まったばかりであった。コロニー雲仙のように入所施設を通過施設と位置づけているところでは、入所定員を大幅に縮小し、利用者に社会適応訓練を実施しながら地域生活に向けた取り組みを行っていた。こうした施設では、利用者・家族・職員間に地域移行は当然という考え方が見られていた。一方船形コロニーや国立のぞみの園では、理事長や国の地域移行促進の方針決定に戸惑いを感じている人たちが数多くおり、受け止め方が一様ではなかった。こうした施設では、地域移行に関して利用者にも家族にも納得のいく形で分かり易く説明され、安心して地域移行がなされようとしているわけではなかった。移行後の地域生活はどの利用者も、様々な課題を抱えながらも、肯定的な体験と受け止めており、自分たちの生活や人生を取り戻すものとなっていることが判明した。また、地域生活支援システムの構築が急ぎ求められていることも判明した。
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