2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15204018
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下浦 享 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (10170995)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井手口 栄治 東京大学, 大学院理学系研究科, 講師 (80360494)
櫻井 博儀 独立行政法人理化学研究所, 櫻井RI物理研究室, 主任研究員 (70251395)
本林 透 独立行政法人理化学研究所, 本林重イオン核物理研究室, 主任研究員 (20116114)
青井 考 独立行政法人理化学研究所, 本林重イオン核物理研究室, 研究員 (00311647)
|
Keywords | 中性子過剰核 / 不安定核ビーム / α非弾性散乱 / 核子移行反応 / 核融合反応 / 集団励起 / 一粒子状態 / ガンマ線核分光 |
Research Abstract |
本研究は、不安定核ビームの二次核反応を用いて、中性子過剰核における励起状態を調べ、その特徴的な構造を解明することを目指したものである。本年度は、主に以下の研究を行った (a)直接反応を用いたN〜20領域の中性子過剰核の励起構造:昨年行った核子あたり50MeVの^<32>Mg近傍の中性子過剰核ビームと液体ヘリウム標的との直接反応で生成された原子核の高分解能ガンマ核分光実験の解析を行った。非弾性散乱、ノックアウト反応、核子移行反応のそれぞれについて、ガンマ線遷移強度を系統的に調べた。新たなガンマ線遷移が確認され、現在、複数のガンマ線の同時測定データを用いて、励起スペクトルの構築を進めている。 (b)核融合反応による中性子過剰核の高スピン状態:昨年行った核子あたり5-6MeVの^<46>Ar二次ビームと^9Be核との融合反応の測定データの解析を進めた。中性子過剰Ti核のより新たな高励起状態からのガンマ崩壊が確認された。ガンマ線検出器GRAPEの位置検出能力を利用することにより、信号-ノイズ比を30%向上させることができた。現在、高スピン状態からの遷移を探査する解析を行っている。 (c)^<12>Be核のクラスター状態:中性子過剰核^<12>Beの高励起状態へのα非弾性散乱を励起状態からの^6He+^6Heチャネルへの崩壊を解析し、クラスター状態の候補を見出した。解析には、移行角運動量ごとの微分断面積の角度分布および反応で生成された核整列に起因する崩壊の非等方性を計算し、それらの重ねあわせにより、測定値を再現するという、新しい多重極分解解析(MDA)を開発した。統計の少ない不安定核ビーム実験の解析手法としての有効性を示し、より信頼度の高いデータを得た。 (d)陽子移行反応^4He(^<12>Be,^<13>B^*)、^4He(^<22>O,^<23>F^*)反応による陽子一粒子状態:^<13>B核の4.8MeVの1/2^+励起状態がN=8魔法数の消失に起因する変形一体場による陽子のintruder stateであることを示し分光学的因子の定量的解析を進めている。前年までに得られた^<23>F核の励起状態の分光結果を論文として公表した。 (e)^<12>B^*異性体の寿命:基底状態と対をなす低励起O^+状態の寿命を実験的に求め、単極および四重極遷移確率が大きいことを示した。得られた実験値は、変形場における縮退した一粒子状態というモデルで記述できることを示した。
|
Research Products
(6 results)