2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15204026
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
潮田 資勝 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (90176652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目黒 和幸 東北大学, 理化学研究所・表面フォトダイナミックス研究チーム, フロンティア研究員 (00360652)
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Keywords | 走査型トンネル顕微鏡 / ラマン散乱 / 表面プラズモン / 探針電場増強ラマン散乱 / 光第二次高調波発生 / カーボンナノチューブ / 単一分子分光計測 |
Research Abstract |
今年度予算で購入した液体窒素冷却CCD検出器とダブル分光器を既存の極低温走査型トンネル顕微鏡(STM)と組み合わせて、極低温STM探針増強ラマン分光システムを構築した。また、現在並行して光第二次高調波発生の検出システムを構築中である。 今年度は、Au(lll)上に単層カーボン・ナノチューブ(CNT)を分散させた試料に対して、探針増強ラマン散乱の実験を行った。試料はCNTをクロロホルムあるいはジクロロエタン中に超音波分散させた溶液をAu(lll)上に大気中で滴下後自然乾燥させることによって作製した。溶液の濃度及び滴下量を最適化することによって、3μm×3μmの範囲内に1本程度のCNTが存在する試料が再現性良く作製できるようになった(STM像を測定して確認した)。このようにして作製した試料に波長785nmのレーザー光を照射し、探針増強ラマン散乱の測定を行った。金基板のフォトルミネッセンスによるラマン・スペクトルのベースラインの上昇を極力抑えるために、近赤外域の励起光を用いた。試料上に5mWのレーザー光(スポット径:70μm×140μm)を照射したとき、探針が存在しなくてもCNTのradial breathing modeとG modeのラマン・バンドが微弱ながら観測された。これはレーザー光照射領域に存在する極一部のCNTが入射光と共鳴し、ラマン散乱強度が増強されているためである(CNTの状態密度には1次元van Hove特異点による発散が存在するので、非常に強い共鳴ラマン効果が起こる)。STMの走査範囲は3μm×3μm程度であるため、残念ながらまだ共鳴ラマン効果が強く起こっているCNT上にSTM探針を近づけられていない。現在、STM探針を共鳴ラマン効果が起こっているCNT上に固定し、金属探針による電場増強効果の大きさと空間的な広がりの評価をする実験を行っている。
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