2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15204031
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 憲昭 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30170773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿曽 尚文 東京大学, 物性研究所, 助手 (40313118)
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Keywords | 磁性 / 超伝導 / 重い電子 / 高圧 |
Research Abstract |
1.強磁性と超伝導の共存を示すUGe_2の圧力下中性子散乱実験および一様磁化測定を行った。自発磁化の温度依存性を詳細に解析し、それがStonerモデルでよく記述されることを見出した。これにより、低圧相は一方のスピンのみが占有される「完全分極状態」にあると理解される。また、同モデルを用いることにより、遍歴電子が感じる(交換相互作用に起因する)分子磁場を評価し、完全分極状態においては、一様な超伝導が発現しえないくらい巨大な内部磁場が生じていることを示した。 2.「隠れた秩序」と超伝導の共存を示すURu_2Si_2において、種々の物理量を圧力下で測定した。まず、交流磁化率測定により、常圧で隠れた秩序との共存を示していた超伝導が、臨界圧力以上で発現する「大きなモーメントを持つ反強磁性相」において消滅することを見出した。また、隠れた秩序相と反強磁性相との相線上において、一様磁化の温度依存にも異常が現れることを示した。さらに、これらの秩序相とは別に、30K以上の高温において、強磁性異常が出現し、その転移温度が圧力の増大とともに減少することを明らかにした。以上の測定より作成された「圧力-温度相図」を議論することにより、隠れた秩序状態のオーダーパラメータの対称性について考察を加えた。 3.高圧下で奇妙な相転移を示すSmSに対し、良質な単結晶育成と、その比熱や熱膨張の測定を行った。これは、今後の研究の基盤を与えるものである。 以上の研究の過程において、極低温・高圧下における測定技術の開発・改良、例えば、中性子散乱実験用の圧力セルや、比熱測定のための小型圧力セルなどの製作を行った。これらは、本研究のみならず、他の多くの研究にも利用可能である。
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Research Products
(6 results)