2005 Fiscal Year Annual Research Report
サブ10アト秒精度の量子位相操作と単一分子量子コンピューティング
Project/Area Number |
15204034
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
大森 賢治 分子科学研究所, 電子構造研究系, 教授 (10241580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香月 浩之 分子科学研究所, 電子構造研究系, 助手 (10390642)
穂坂 網一 分子科学研究所, 電子構造研究系, 特別協力研究員 (00419855)
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Keywords | 波束 / アト秒 / 量子干渉 / コヒーレント制御 / 量子情報 / 量子位相 / 分子 / 量子コンピューター |
Research Abstract |
我々は前年度までに、独自に開発したアト秒位相変調器(APM)を用いて10アト秒以下の精度で光学位相を操作する技術を開発し、これを用いてHgArファン・デル・ワールス錯体内に発生した2個の振動核波束の量子干渉をほぼ100%のコントラストで完全制御することに成功した。また、干渉直後の波束の位相情報は、各振動固有状態のポピュレーション比を使って読みだすことができ、この各固有状態の振幅情報は、系全体のコヒーレンスが消失した後でも分子集団内に30ns以上保存されることを実証した。さらに、ヨウ素分子内に発生させた2個の振動波束の干渉の実時間観測にも成功した。ここでは、APMによってアト秒精度で位相ロックされたフェムト秒レーザーパルス対をヨウ素分子に照射し、同様に位相ロックされた振動波束対をB状態ポテンシャル上に発生させ、これらの量子干渉を別のフェムト秒レーザーパルスを用いたレーザー誘起蛍光法によって実時間で観測した。これによって、コヒーレンスの時間発展が、波束を構成する各振動固有状態間の位相関係に敏感である事がわかった。これら一連の知見は、分子の内部量子状態を用いた情報処理の可能性を示唆するものである。今年度は、このような波束干渉によって発生する量子リップルを、1ピコメーターの空間分解能と100フェムト秒の時間分解能で可視化する技術を確立した。ごく最近では、このように可視化された時空間模様(量子ファブリック)を自在に書き換えることにも成功している。また、これらの基盤技術を用いた分子メモリーの開発にも成功した。この分子メモリーは、振動固有状態をビットとして動作する量子メモリーで、各ビットの振幅と位相の両方を書き込んで読み出すことができる。固有状態の重ね合わせ状態を用いれば量子ビットとして動作させることも可能である。さらに、この分子メモリーを量子情報処理に活用するために、分子の内部量子状態を用いた量子ゲートと量子アルゴリズムの開発を行った。
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Research Products
(3 results)