Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入月 俊明 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (60262937)
瀬戸 浩二 島根大学, 汽水域研究センター, 助教授 (60252897)
大谷 修司 島根大学, 教育学部, 教授 (50185295)
山口 啓子 島根大学, 生物資源科学部, 講師 (80322220)
蜷川 清隆 岡山理科大学, 理学部, 教授 (80098590)
|
Research Abstract |
地球温暖化に伴う海水準の変化(水位変動)が沿岸生態系に与える影響を予測するための基礎的研究を行った。特に,長期間の気候変動に対する生物群集の呼応を解読する手段として,汽水域の柱状堆積物の採取とその分析,年代測定技術の改善,および汽水棲生物の環境への実験生物学的な反応について検討を進めた。年代班は,年代測定の対象になる主な鉱物について,カソードルミネッセンスを用いて成長分域や変成分域の評価を行い,U-Pb法:ジルコン,ESR法:石英およびTL法:カルサイトのCL温度消光効果における活性化エネルギーを定量化し,生成環境や熱履歴を推定した(西戸・蜷川)。また,多くの環境放射能の測定を行った(小村)。生物班は,汽水棲二枚貝ウネナシトマヤガイを1年間飼育し,1ヶ月ごとに計測して成長と生残を比較した。寒冷状態おいて,初夏の殻体の成長が非常に速かった。ヤマトシジミは高塩分から低塩分へ環境が変化した際に,最も成長速度が高くなった(山口)。宍道湖産植物プランクトン培養株を得ることを目的として宍道湖表層水をBBM寒天培地にまき,20℃で培養を行い植物プランクトンの分離を行った(大谷)。環境変動班は,宍道湖(島根県),サロマ湖(北海道),大村湾(長崎県)の閉鎖性沿岸域の柱状堆積物の粒度分析,有機物分析や生物遺骸を検討した。宍道湖は1960年代の斐伊川東流により宍道湖が淡水化したとき,海側からの密度流の証拠が得られた(瀬戸)。大村湾では1960年代以降に貧酸素水塊に対して強い適応力を持つ貝形虫のみが優占していることと,貧酸素水塊の観測結果とが一致した(入月)。砂州の人為的開削が湖内の環境を変える機会となったサロマ湖では,沿岸環境の影響を受けるようになり,顕著な群集変化が開削から遅れて現れた。水位変化による影響は,顕著に生態系に反映される場合とそうでない場合が存在し,地域差がある。
|